四天王寺(Photo by gettyimgaes)
歴史

「千年企業」はなぜ簡単には潰れないのか

創業578年の会社に学ぶ

日本以外ではほとんどない

日本は、世界でもまれな「老舗企業大国」であることはご存知だろうか。

統計のとり方によって諸説あるが、日本には「創業200年以上」の老舗企業が3000社以上も現存している。これは、2位ドイツの約1600社の2倍にあたる数字だ。

そんな並み居る老舗の中でも最古の企業が、大阪の建設会社「金剛組」。

創業はなんと、西暦578年。聖徳太子が四天王寺を建立するため百済から招いた宮大工・金剛重光によって創業された。

578年というと、ムハンマドがイスラム教を開くよりも前。「イスラム教徒」が地球上に一人もいない時代からずっと存続している企業なのだ。

四天王寺は、織田信長に焼き討ち(1576年)されたり、大坂冬の陣の戦災(1614年)や大阪大空襲(1945年)で被災したりと、これまで実に7回も焼失の憂き目にあっているが、その度に金剛組が再建してきた歴史がある。

ちなみに東京商工リサーチの調べでは、金剛組に次いで僅差で2位になったのは、587年創業の池坊華道会、3位は705年創業の西山温泉慶雲館。日本には「千年企業」がぜんぶで7社ある。

 

翻って、日本以外の国には千年企業はほとんど現存していない。例えば、経営歴200年以上の会社のみが加入を許される「エノキアン協会」という国際組織があるが、ここに加入している欧州企業の中で最古参のイタリアの銃器メーカーでも、創業から約490年程度。1000年には遠く及ばないのだ。

なぜ、日本には老舗企業がたくさん残っているのか。これは植民地化や侵略、他国の巨大企業による進出をも免れてきた、特殊な地理的要因によるところが大きい。

さらに、金剛組のように、職人の技術を連綿と受け継いできたところが多く、長年にわたって一つの技術や製品に専念し、その分野の「絶対王者」として君臨しているため、なかなか潰れないという事情もある。

恵まれた地理事情と、細やかな技術。日本人がもつメリットの結集が、「千年企業」なのだ。(岡)

『週刊現代』2017年11月11日号より