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言葉のプロが分析!選挙のキャッチコピー「巧い政党・ヘタな政党」

過去12年分も比べてみました
フタを開けてみれば自民党の圧勝で終わった総選挙。各党の政策や各候補者の一挙手一投足に注目する識者が多い中、あえて「政党のキャッチコピー」に着目した人物がいる。企業の販促や新規事業戦略をサポートする経営コンサルタントで、『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』の著書もある竹内謙礼氏が、各政党のキャッチコピーから透けて見える戦略やビジョンについて語る。

「言葉」から透けて見える各党の戦略

ネット上にある情報を調べた限りですが、選挙で政党が“キャッチコピー”を積極的に使うようになったのは2003年ぐらいからのようです。『選挙で当選したら、うちの政党はこんなことをやりますよ』と“政権公約”を掲げるようになってから、政党はキャッチコピーを使って政策方針などを訴えるようになりました。

その後、民主党が2013年の総選挙で“マニフェスト”を使うようになってからは、さらに政党の情報発信は活性化していきました。

そして、今回の第48回衆議院議員総選挙においても、各政党はキャッチコピーを用いて政策方針を広く国民に訴えました。結果はご承知の通り、与党が圧勝。野党は思うように得票数を伸ばすことができませんでした。

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ここでは各政党が選挙前に掲げたキャッチコピーを振り返りながら、「言葉」から透けて見えてくる各政党の戦略や広報活動について、販促コンサルタントの視点で考察していきたいと思います――。

まず、主な各政党のキャッチコピーは次の通りです。新聞等で掲載されたキャッチコピーを参考に、比較できる代表的なものをピックアップさせて頂きました。

 

自由民主党 「この国を、守り抜く。」
公明党 「教育負担の軽減へ。」
希望の党 「日本に希望を。」
日本共産党 「力あわせ、未来ひらく。」
立憲民主党 「まっとうな政治。」
日本維新の会 「消費税増税凍結!身を切る改革で教育無償化。」
社民党 「憲法を活かす政治」
日本のこころ 「次世代へのメッセージ」

そのうえで今回、各政党のキャッチコピーを検証する上で、2005年の第44回衆議院議員選挙からの計5回の総選挙のキャッチコピーをすべて検証しました。

*今回検証した、2005年の衆院選からの各党のキャッチコピー。表右下から拡大してご覧ください。

すると、政党のキャッチコピーには、3つの法則があることが分かりました。

法則1:字数を短くする

1つ目は「字数が短い」という点です。

選挙は短期決戦のため、端的なメッセージで有権者に趣旨を伝えなくてはいけません。平均すると10字~15字。このくらいの文字数であれば、言葉を見ただけで何が書いているのかすぐに理解できます。

しかし、これ以上の文字数になってしまうと、「見る」から「読む」に意識をシフトする必要があり、伝達力が弱い言葉になってしまいます。

そのような事情もあり、各政党のキャッチコピーは短めに作ることがトレンドになっています。

法則2:句読点を積極的に使う

2つ目の傾向としては「。」「、」の句読点を積極的に使うという点です。

広告業界では「キャッチコピーも文章だから、句読点を使うのは当たり前」と言われているようですが、販売が行われる売り場のPOPや、Eコマースで使われるネットショップのキャッチコピーでは、句読点を使わないキャッチコピーも多く存在しています。

個人的には、このような短い言葉で句読点を使うと、言葉に力強さが増すという効果のほうが大きいのではないかと推測します。『そうだ京都、行こう。』『モーニング娘。』等、インパクトのある身近な句読点を使ったキャッチコピーを思い返して頂ければ、イメージはつきやすいと思います。

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政党のキャッチコピーに、このような広告のコピーライティングの手法が使われるのは、それぞれの政党に広告代理店がついているという事情があります。

一部の政党には広報を担当する部署(担当者)が存在しており、政党をどのように世の中にアピールしていくのか、広告代理店とともに戦略を考えています。

どこの政党がどこの広告代理店と組んでいるのか公にはされていませんが、選挙期間になるとメディアに政党の広告が流れる現状を考えると、主要の政党の広報戦略に大手広告代理店が絡んでいると考える方が、むしろ自然な広報スタイルの形と言えます。

法則3:真面目で分かりやすい言葉を選ぶ

3つ目の特徴は「まじめで分かりやすい言葉」を選んでいる点です。当たり前のことですが、政治は「ふざけた人」よりも「まじめな人」にやってもらいたいのが国民の心情です。そのため、使う言葉からは誠実さを伝える必要があります。

また、選挙は老若男女が対象になるため、若い人しか知らない流行りの言葉や、専門用語を使ったキャッチコピーなどは、極力、使わないようにしています。

このように、過去の政党のキャッチコピーを検証すると、概ね、この3つのキャッチコピー作りの法則が使われていることが分かります。

さて、これらの導き出した3つの法則から、今回の総選挙の各政党のキャッチコピーを添削していきたいと思います。

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