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企業・経営 不正・事件・犯罪 週刊現代

わが社は大丈夫か!? 神戸製鋼の取引先「パニック」の一部始終

あの製品も、この部品も…

神戸製鋼でさえ、自社製品が最終的にどこでどう使われているかをすべては把握していない。ならば、自分たちで徹底的に調べるしかない……。不安と不信に駆られた企業の「パニック劇」一部始終。

追加調査、追加調査、追加……

日立製作所の経営陣に衝撃が走ったのは、いまから約1ヵ月前の9月14日のことだった。

この日、取引先の神戸製鋼所からある一報がもたらされた。

「御社に納入した製品の一部で、データ改竄したものがございました……」

神戸製鋼がアルミ製品などでデータ改竄をしたことを公にしたのは10月8日だが、実は取引先各社には、それ以前の9月から随時報告がなされていたのである。

一報を受けた日立製作所では慌てて、データ改竄されたものがどの製品に使われたかを調査すると決定したのだが、これが地獄のような調査の日々の始まりとなった。

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同社では納入した資材については納入時期などに応じて品番をつけているが、その品番から目星をつけながら一つ一つ照合していくのは骨の折れる地道な作業。

ひとまず当該部品が鉄道車両に使用されていたことを突き止めて電鉄会社にその旨を連絡した時には、すでに調査開始から約1週間が経過していた。

さらに調べていくなかで、日立と神戸製鋼の取引は本社の調達部門が一括してやっているわけではなく、子会社や孫会社のなかにも個別に神戸製鋼と取り引きしているところがあるとわかってきた。

当然、そうしたグループ会社の取引もすべてしらみつぶしに調査することが必要となり、調査対象は否応なく拡大していった。

「それだけではありません。神戸製鋼の当初の説明では、2016年9月~今年8月に出荷した分について不適切製品があったということだったのに、記者会見で10年前からやっていたと突然言い出した。

われわれとしては'16年9月以前に納入された分も追加で調査せざるを得なくなった」と、日立社員は内情を語る。

 

神戸製鋼の不正問題はそのあとも拡大を続け、アルミや銅だけではなく、鉄鋼製品でも不正が発覚。

さらに神戸製鋼本体のみならず、グループ会社にも不正が蔓延していたことが明るみに出る中で、どこまで問題が広がっていくのかも見通せなくなっていった。不正は数十年前から行われていたとの報道も出てきた。

「全貌が見えない限り、こちらの調査も際限なく続く」(前出・日立社員)

突然降ってわいた神戸製鋼ショックをめぐって、いま日本中の有名企業、名門企業の経営陣が頭を抱え出している。

神戸製鋼はこれ以上嘘をついていないのか、うちの製品はほんとうに大丈夫なのか……。

そんな不安と不信が一気に膨れ上がり、取引先各社で大慌ての大パニック劇が巻き起こっているのである。

三菱電機社員も言う。

「とにかくもう調査が大変なことになっています。神戸製鋼から納入しているのはアルミなどの素材で広い製品に使われている可能性があるため、すべての事業について、どこに使われているかを調査しています。

しかし、うちは事業本部だけでも10あり、それぞれにまたいくつも枝分かれする事業部署があるので、調査対象があまりに膨大です。

それに、うちは調達部門が東京本社の管理部門だけではなく、全国各地の製造拠点それぞれに調達部門がある。加えて仲介業者から納入されている分もあるので、その複雑多岐な調達経路をすべて洗い出さなければいけなくなった。

われわれに製品を納入している部品メーカーが神戸製鋼の不正製品を使っている可能性もあるが、契約によってはわれわれにその情報が降りてこないものもある。調査は難航しています」