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この選挙で、ネット右翼は終わり新たに「ネット左翼」が生まれた

【緊急対談】不毛な左右対立は加速する
古谷 経衡, 辻田 真佐憲 プロフィール
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辻田:陰謀論とも繋がる話ですけど、今回の選挙では、先ほども挙げたような「この選挙で負けると戦争になる」とか「独裁政権がくる」というようなアルマゲドン的言説が、共産党系とはまた違う、一部のリベラル系文化人によって拡散されているなとも感じました。彼らのムーブメントに乗っかる人たちが、やはり私にはネット右翼のコピーに見える。

しかも、右と左だと右のほうがおそらくネット上でもリアルでも数が多いので、最終的にはネット左翼は消耗して負けると思うんですね。右には、権力も金もありますし。なので、こういった無意味なことはやめて、もっと長期的視点から戦略を立てないと、最終的にはリベラルそのものが消滅してしまうんじゃないかと危惧しているんです。

 

わかりやすい「安倍政権で即社会崩壊」とか「負ければ戦争が始まる」みたいな世界観をいい加減やめないと、ゆくゆくは自民党への対抗軸そのものが消滅してしまうし、それは日本全体のためにもならない。安倍首相の顔が影で黒くなっている写真を抜き出してきて、「この写真に安倍の腹黒さが表れている」とツイートするとか、そういうことで仲間内で盛り上がっても仕方がないでしょう。

もちろん、左右双方がそういう馬鹿馬鹿しいことをやっているわけですが、そういうことを止めない限り、自民党一強の状況は続くんだと思います。なので、リベラルは立憲民主党を雰囲気で支持するのではなくて、長い目で見て育てていく必要があるんじゃないかと。そうしないと、スキャンダル報道とかであっという間に雲散霧消しかねない。

立憲民主党はどこまでやれるか

古谷:とはいえ今回、立憲民主党は無所属で受かって合流してきそうな議員を含めると、70議席くらい取っていますよね。これって、昔の社会党のミニマムと近いんですよね。もちろん当時とは総議席数が違いますけど、議席の割合という点からすればかなり大きい。2014年総選挙の民主党の73議席ともほぼ同じなわけです。

しかも、政策面では純化されている。かつての社会党的な立ち位置、影響力を持ちうるかもしれないんですよね。

僕は改憲派ですが、これは与党にとっては脅威になりますよ。もちろん改憲発議を抑えられるだけの議席は持っていないにしても、国民投票の段階になると、無視できない影響があるのではないかなと。共産党と合わせたら衆議院に約90議席も護憲勢力がいるという状況は新しい。

辻田:でも、枝野さんってもともと護憲派じゃないですよね。立憲民主党の政策パンフレットを見てもそこまで護憲ではなくて、「専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する、安保法制を前提とした憲法9条の改悪に反対」という、かなり解釈の余地を残した書き方です。

今の日本政治とかつての55年体制の違いは、憲法改正や北朝鮮の脅威が目前にあることでしょう。その中で、立憲民主党が果たして護憲だけで突き進めるのかどうか。それだと結局共産党とあまり変わらなくなってしまうわけですが、枝野さんはおそらく共産党と一体化したいとは思っていない。そういう微妙な距離感を維持しながら、党をまとめられるのかという問題が潜んでいると思うんです。

「護憲」を前面に打ち出した方が一定の支持は稼げるのかもしれないけど、それで現実的な政策を出せる、政権を担いうる政党になれるのか。細野豪志さんなんかは、そうした限界を感じて民進党から出て行ったわけですし。

古谷:確かに立憲民主の人気には過熱感、バブル感もあります。私は投開票日の夜、番組出演の関係で立憲民主党の開票センターにいたんですが、枝野さんは終始笑顔がなかった。最後の方は少し笑っていましたけど、やっぱり冷静に現実を見ているのかなという気がしました。

あとは参院民進党の動向に注目ですね。2019年の参院選ではもしかすると立憲が躍進するかもしれない。今回は自民党が勝ちすぎでしたし、改選となる2013年参院選でも自民党は勝ちすぎているから。

今回、自民党の敗戦が先送りになったので、安倍総理もあまり喜んでいないように見えます。どんな政権にもいつか終わりは来るし、野党には構造的に十分勝機がある。参院選では政権は動きませんが、第一次安倍政権は参院選敗北の責任をとって総辞職したとも言えますから、やはり大事なんですよね。

なので、安倍政権としては次の参院選までに発議しないと、意外と憲法改正は難しくなってくるようにも思います。

                               (後編に続く)

 
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