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この選挙で、ネット右翼は終わり新たに「ネット左翼」が生まれた

【緊急対談】不毛な左右対立は加速する
古谷 経衡, 辻田 真佐憲 プロフィール

辻田:希望の党の黒い部分というか、小池さんの権謀術数、議席欲しさに転向した人たちのドロドロを横目に見ていると、立憲民主党なんてほとんど旧民主党なわけですが、相対的に白く見える。マニフェストや政策が良かったからではなくて、あくまでイメージが良かったから伸びたということなので、ある意味ではポピュリズムです。

ですから、立憲民主党もやがてイメージが維持できなくなって崩れてゆくとすると、いよいよリベラルからすると寄る辺もないというか……しかも、そうなれば「ネット左翼」はますます追い込まれてしまうのではないかと。

 

今後、「ネット左翼」が台頭する

古谷:辻田さんは「ネット左翼」って、数的にどのくらいいると思いますか? 私はネット右翼に関しては「200~250万人説」を唱えているんですが。

辻田:うーん、調べていないのでなんとも言えないですけど(笑)。ただ、私の講演会なんかでも、質問を募ると「憲法9条は私の命なんです」みたいな演説を突然始める人がいるんですよね。そういう人たちが、今まではリアルのイベントに出てきていたのが、先ほど古谷さんがおっしゃっていた「ネット右翼のリアル化」とは反対に、リベラル・左翼陣営ではネットへ流れてきているなとは感じます。

しかも、高齢世代ほどこういった「護憲」や「9条改正反対」といった意見と親和性が高いですから、そうした世代が現役を退いてネットにせり出してくることによって、これから見かけ上は勢力を増してくるんじゃないかと。

辻田真佐憲/1984年生まれ。文筆家、近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科を経て、政治と文化・娯楽の関係を中心に研究・執筆を行う。著書に『文部省の研究』(文春新書)『大本営発表』『ふしぎな君が代』『日本の軍歌 国民的音楽の歴史』(幻冬舎新書)など。監修CDに『日本の軍歌アーカイブス』(ビクターエンタテインメント)などがある。

古谷:おっしゃる通り、やっぱり今般の選挙で立憲民主に熱狂している人たちを見ると、「ネット左翼」がこれから短期的・中期的には増えていくのかな、という気はします。

そもそも「ネット左翼」的なものが生まれたきっかけって、山本太郎参院議員と三宅洋平さんの登場だったと思うんです。特に三宅さんは昨年の参院選で、落選しましたが25万7000票取ったんですよね。山本さんは2013年参院選で東京選挙区の4位に入って、奇跡的に当選した。

ここから推定すると、「ネット左翼」のコア層の規模は30~40万人くらいなのかなと私は考えています。Twitterのプロフィール欄に「反アベ」「原発再稼働絶対反対」「NOヘイト NO TPP」といった項目を掲げているような人たちですね。

従来型の左翼でいうと、共産党も「日本をかえるネット」というネット組織を一応持ってはいるんです。でも、私は選挙当時三宅さんや山本さんの選対に実際に行ってみたんですが、いわゆる共産党的な「左翼」とは雰囲気が違う。一種、安倍昭恵夫人とも共通するところがあるというか、一言で言うと「スピリチュアル」なんです。

ご存知の通り、三宅さんはネット右翼からは「左翼」と言われるけど、昭恵夫人と仲が良くて、2人の共通点は「土へのこだわり」。極右の論者も時折同じことを言うんですが、「モンサント(注・米国のバイオ企業)の農薬で日本の稲=国体が汚れる」「日本の伝統である大麻を解禁せよ」というような主張をしている。

だから、「スピリチュアル」という補助線を引くとすごくわかりやすい。原発関連でも、「2011年3月以降に作られた缶詰はすべて汚染されているから食べない」とか。

「ノストラダムスの預言」や「ユダヤの陰謀」といった陰謀論は周期的に現れるものですが、そういった風潮とも「ネット左翼」はリンクしているのかなという気がするんですよね。