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『陸王』『ドクターX』『コウノドリ』…豊作!秋ドラマの泣きどころ

大人が楽しめる作品が増えた
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夏に比べると在宅率の高い秋には、各局が力を入れた連ドラを投入する。そのため、ラインナップには役者も脚本家も実力派が並ぶ。どれも粒ぞろい。しみじみと人生を考えさせられるドラマが揃っている。

見るほうも燃えてくる

大ヒット作がなかった今夏の連続ドラマに比べると、秋は豊作になりそうだ。ラブストーリーが少なく、その分、大人が楽しめる作品も多い。

秋ドラマの大本命はTBSの『陸王』だろう。原作は池井戸潤氏で、演出は福澤諭吉の玄孫である福澤克雄氏。『半沢直樹』と同じタッグだ。

ストーリーは、役所広司演じる創業百年の足袋屋「こはぜ屋」の社長が、大手スポーツメーカーを相手に、「日本人のためのランニングシューズ」の開発に社運を賭けるというシンプルなもの。

第1話では、「こはぜ屋」の新規事業を応援していた部下をこき下ろし、会社のためだとリストラを迫る銀行の融資課長に向けて、役所が熱弁する。

役所広司Photo by GettyImages

「うちの足袋を履いたことがないあなたに、なにがわかりますか?あなたが見ているのは、自分の出世のための目先の利益、支店長の顔色だ。自分のことばかり考えている銀行員にうちの未来をどうこう言えるのですか」

気鋭の映画ライター・平田裕介氏が語る。

「モノづくり礼賛や中小企業の意地というテーマはいまさら感が拭えません。しかし、これでもかと難関が待ち構え、どこまでも憎々しい悪役を次々と登場させるので、こちらもなんだかんだと燃えてしまう(笑)。

八方塞がり状態になろうとも、『でも、やってみようと思う!』と言い放つ役所広司のイケイケぶりが、観る者をさらに高揚させてくれます。

また、複数ヵ所で空撮を敢行し、大規模なモブシーン(群衆が集まる場面)も満載と、画面にも迫力があります」

日本大学藝術学部名誉教授でドラマ評論家のこうたきてつや氏も言う。

「福澤さんの演出はすぐにわかります。いつも赤い太陽が昇りますので(笑)。その熱い演出は見応えがあります。『こはぜ屋』の工場のリーダー役である阿川佐和子さんのはりきりぶりも妙に面白かった。

今後の見所は、NHK朝ドラ『ひよっこ』でヒロインの恋人役だった竹内涼真が演じるマラソンランナーが、どう物語と絡んでくるのか。あるいは、クセのある天才肌の職人を、いぶし銀の寺尾聰がどう演じるのかも楽しみですね」

 

『コウノドリ』も「ドラマのTBS」の復権をうかがわせる良作だ。

主人公の産婦人科医・鴻鳥サクラ(綾野剛)が勤務する病院には、自身あるいは胎児に問題を抱える妊婦が次々と来院。現実的な出産の問題が丁寧に描かれている。

中央大学文学部教授(日本近現代文学)の宇佐美毅氏が言う。

「綾野さん演じるヒューマニズムに溢れる産婦人科医と、星野源さん演じる冷徹で厳しい考え方をする産婦人科医の対比が、物語の軸になっています。産婦人科という舞台設定は、暗いシリアスな要素だけではなく、生命が生まれる明るい面があるのもいいと思います。

もちろん、大森南朋さんや、吉田羊さん、佐々木蔵之介さんなど、脇を固める個性派俳優の演技も見逃せません」

泣けるエピソードがたたみかけるなか、主人公・サクラはこう呟く。

「赤ちゃんが生まれるのは奇跡だ。だけど、その後には現実が続いていく」

前出・平田氏が語る。

「産んでめでたし、というわけにはいかないことをこのドラマは示している。そのシビアな姿勢に好感が持てます」

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