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世代間連鎖を防ぐ子育て論(7)

子どもは質問で「世界」を知る

先日、出勤時に、一組の親子とエレベーターで乗り合わせました。

「ねえねえ、ママはさ、なんでパパと知り合ったの?」
「同じ会社だったからよ」
「ねえねえ、なんでママはパパと結婚したの」
「パパはね、とってもやさしかったからよ」

4歳くらいの女の子は、私が聞いているのもおかまいなしに母親を質問攻めにします。母親のほうは、こちらを意識しながらも、小さな声でしたがきちんと受け答えをしていました。

 

このように、ある時期、子どもが大人を質問攻めにすることはよく知られています。子どもにとって世界はどう見えるのでしょうか。

大人が見ているのと同じように見えているとは限りません。「名前がつく」ことではじめて、見ているものを認識できるからです。名前、つまり言葉を獲得することで、子どもには周囲の世界が意味のあるものとして見えてきます。

獲得した言葉が増えるにつれて、どんどん不思議なものやことがらが増えてきますので、「どうして」と質問することも増えるのです。

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前回述べた「アタッチメント」(愛着)について思い出してください。親、なかでも母親(主たる監護者)は、幼い子どもにとっては世界そのものです。

だからこそ、何にもまして関心を注ぐでしょうし、エレベーターの中の少女のように、親に対して「なぜ」「どうして」と質問するのでしょう。

親にとっては、時には面倒くさいと思えることかもしれませんが、極力きちんと答える必要があると思います。

質問内容は年齢によるでしょうが、学齢期以前の子どもに対しては、親の知る限りの知識をもって答えてあげたいものです。なぜなら、子どもにとって世界が秩序を持っていると感じられる第一歩だと思うからです。

「問いに対して答えが与えられること」「答えによってさらに世界が広がる心地よさを知ること」「不思議と思う問いかけが親に受け止められて肯定されること」、このすべてがひとつの秩序(世界がまとまっていて明晰であること)を子どもに実感させる基礎となるでしょう。

大人になるにつれて、世界にはわけの分からないことのほうが多いこと、謎は尽きないこと、人間の知識が非力であることなどを痛いほど思い知らされるのですが、だからこそ、根幹にある、幼少期に獲得した「世界の秩序に触れる心地よさ」と「親が答えてくれたという安心感」が重要なのだと思います。

世の中がどれほど理不尽であろうと、せめて親だけは子どもに対して秩序を、この世界は明晰であることを示してあげたいものです。

そのためには、問いに対して答えること、子どもが納得するように説明することが必要だといえるでしょう。一般的に、アカウンタビリティ(説明責任)などと呼ばれるものに近いかもしれません。