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週刊現代

でんじろう先生が子供時代に夢中になった「科学の本」

教師だった僕の方向を決定づけた

僕の仕事の源流となった

僕の読書の始まりは、小学校の図書室。エジソンや野口英世などの偉人伝、発明発見物語など科学系の本が好みでした。

この頃から愛読しているのが、ファラデーの『ロウソクの科学』です。昔の家庭ではご飯やお風呂も薪でたくぐらい、火が身近でした。ロウソクも毎日使う必需品のひとつ。この本はそんなロウソクの燃焼の仕組みなどを科学的に解説しています。

 

元々は1800年代、ファラデーが室長を務めていたイギリスの王立研究所で行われたクリスマス講演をまとめた講義録で、単に最新の科学の話をするのではなく、たくさんの実験を交えて、一般の親子向けに科学の面白さを説いています。200年近く前、ファラデーが生んだこのスタイルは、僕の今の仕事の源流にもなっています。

中学生になってからは図書室がかなり充実していたので、入り浸りましたね。理科学習辞典や化学辞典、図鑑などもズラッと並び、中を開くと、それまで知らなかった科学の世界が満載で、興奮しました。本を見ながら薬品を混ぜ化学反応を試すなど、友達と一緒に実験するのも楽しかった。

高校は帰宅部で、放課後は本を読むか工作するかの毎日。当時読んでよく覚えているのが、7位に挙げた『ニューギニア高地人』です。石器文化が残る現地の人の生活ルポを読んで興味を持ち、自分でも石斧を作りました(笑)。

高校生の頃は、『相対性理論』などの難しい本もわからないなりに読みたくなり、とりあえず開いてみては学問をしている気分に浸っていました。思春期にありがちですよね。同様に文学にも興味を覚え、萩原朔太郎や佐藤春夫の詩集なども、手に取るようになりました。

その後、3年の浪人生活を経て大学に進学します。テレビもない下宿暮らしで、暇つぶしは読書だけ。古本屋で50円や100円で売っている岩波、新潮、角川などの文庫本を買い漁り、ノンジャンルで読みまくりました。

結局大学院に進み、修士に2年、その後、研究生として3年間大学に籍を置きます。その時、自由学園に非常勤講師として赴き、教師の仕事の面白さに気づきます。2位の『ヱレキテル究理原』はその頃に出合った本です。

この本では、江戸時代の大阪の蘭学者が、オランダの科学の本に書かれている内容を自ら検証し、きれいな挿絵付きで紹介しています。数百年前の日本人が、実証的に数多くの電気実験をしていて、非常に刺激になりました。

たとえば着物姿の子供たちが大勢で手をつなぎ、静電気を集めて通電させる「百人おびえ」実験も描かれています。この静電気実験は、今の僕のサイエンスショーでもおなじみですが、教師時代に初めて授業に取り入れて好評でした。

仮想の「釣り」に没頭する

もうひとつ、教師時代に読んだ本で印象的だったのが、4位の『たのしい講座を開いた科学者たち』。僕の仕事の方向性を決定付けた本といえます。

科学技術って、実は発見された直後はあまり役に立たないんです。100年ぐらいしてようやく実用化されるのが普通。だから、最初は単に見世物のように多くの人の前で「電気ピリッ」みたいにして驚かせるだけ。でも、それでいい。人間の知識欲や興奮を呼び起こす面白さがあるからです。

この本にはそういう科学者たちの楽しい実験講座が、数百年前から整理されて紹介されています。