政治政策

「野党再編」の動きは、この2つのルールを知れば読み解ける

政界再編を裏から縛っているもの
北島 純

再編、あるとしたら年内

前原代表の判断が注目される理由はもう一つある。民進党がこれまで貯め込んできた100億円を超えると言われる政党交付金の行く末だ。そして、今後も貰えるであろう巨額の政党交付金である。

そこで、野党再編劇を規定するもう一つのルール、政党助成法が規制する「政党交付金」の交付ルールを見ていこう。

 

これは国民の税金から出される「約320億円」を、共産党を除く各政党が分け合うというもので、ポイントとなるのは、

①交付金を受けとることができる政党要件は、「所属国会議員が5人以上」であるか、または「所属国会議員が1名以上いて、かつ、直近の選挙の「全国」での得票率が「2%以上」であること」。
②交付金を受けとるためには政党が「基準日」の翌日から起算して15日以内に総務大臣に届け出ることが必要
③「基準日」は原則として毎年1月1日である(そのため12月に政党の離合集散が起こる)が、選挙があるとリセットされ、「選挙の翌日」が基準日となる(これを選挙基準日という)。なお、年をまたぐと、1月1日に基準日が再リセットされる。
④政党交付金は年4回に分割して交付される(4月20日、7月20日、10月20日、12月20日)。

という4点だ。

今回の野党再編で重要になるのは、政党交付金が配分される「タイミング」だ。

一番最近の政党交付金の交付は今年の10月20日に行われた。この交付は今回の総選挙(10月22日)の前だったので、選挙によってリセットされる前の基準日である「2017年1月1日」の届出に基づいて算出された。したがって、希望の党や立憲民主党の分はカウントされず、民進党が全部受け取っている(約21億8000万円)。

これに対して、次回の交付である12月分は、今回の総選挙で基準日がリセットされた以降のタイミングになるので、総選挙の翌日すなわち「2017年10月23日」が選挙基準日になり、その時点での情報に基づく届出にしたがって交付されることになる。

今回の野党再編、さすがに選挙翌日(10月23日)の選挙基準日には間に合わない。したがって、次回の交付金(2017年12月20日分)は、選挙終了直後の現状を反映したものになり、今後の野党再編が反映された交付は「次の次の交付」(2018年4月20日分)になる。つまり、2018年1月1日が基準日となるので、野党再編はその前の2017年の年内に決着をつける必要がある。

問題は、いざ政党を立ち上げたとしても、交付のタイミングが「2018年4月20日」であることだ。遥か先というと大げさだが、再編が実現したとしてもそこから4ヶ月も先になる。新党の立ち上げ時は借入金でしのいでも、大型政党の運営を何ヶ月も助成金なしで回していくことは苦しい。野党再編のシナリオ(A)新党案があまり現実的でない理由の一つがこれだ。

また、希望の党を分割するという案(シナリオB)も、単に党内権力闘争で合意形成が難しいというだけではなく、12月20日に交付される助成金の分配についての合意が難しいという問題が出てくるだろう。旧・維新の党の分裂騒動は記憶に新しい。

以上から考えると、政党間移動禁止のルールからも、政党交付金の分配ルールからも、いまある民進党の枠を存続させて、そこに希望の党組や無所属組が出戻ってくるというのが、圧倒的に「楽」なことが分かる。

新メディア「現代新書」OPEN!