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もしトヨタが倒れたら、日本経済はここまでヒドいことになる

従業員と取引先140万人が路頭に…

EV、自動運転の時代が幕を開け、自動車業界は100年に1度の転換期を迎えた。今年で創業80年を迎えた「トヨタ王国」とて安穏としていられない。

万が一があれば、日本経済は未曾有の大混乱に陥る。

あまりに巨大になりすぎた

「かつて大きな市場だった北米で自動車の売り上げが落ち、国内販売台数世界一の中国では国ぐるみで次世代車の開発に取り組んでいるなど、自動車の市場は大きく変化しようとしています。

そのなかでメーカーが取り組んでいるのが、電気自動車(EV)と自動運転技術の開発です。EVではテスラをはじめ、あの家電メーカーのダイソンまでもが参入を計画するほど競争は過熱しています。

また自動運転の分野では、グーグルやマイクロソフトといった巨大IT企業がビッグビジネスを展開しようとしている。業界を超えたパイの奪い合いのなかで、既存の自動車メーカーの優位性は徐々になくなっていくでしょう」(経営コンサルタントの加谷珪一氏)

本連載第2回で自動運転を取り上げたときにも述べたが、EVと自動運転の普及は、我々のクルマに対する価値観を大きく変えていく。

内燃機関が電気モーターに置き換えられ、自分で運転する必要がなくなれば、自動車はテレビや掃除機のような「家電製品」と同様の扱いになる。

そうすると、クルマを所有することの意義がいまとは違ったものになるだろう。

 

新技術の到来で消費者の感覚が変わろうとしているいま、自動車業界は、潮目が変わればどんなメーカーでもたちどころに消滅しかねない時代に突入しようとしている。

これは、トヨタのような日本を代表するモンスター企業も例外ではない。

トヨタ自動車の従業員は、本社単独で約7万4000人、グループ連結では36万人を超える。

約75%のパーツを自社以外から調達する同社は、大手1次請けとして約500社、2次請けが5000社、3次以下の下請けまで含めると3万社以上の取引先がある。

そこでは、実に140万人以上がトヨタ関連の事業に携わっていると推計される。日本の労働人口の3%、学校にたとえればクラスに1人は「トヨタ王国」の一員がいるというわけだ。

グループ合計年間生産台数は1000万台を超え、純利益は約1兆8000億円。時価総額は約20兆円でフォルクスワーゲンの約3倍である。

そのトヨタは、デンソーやアイシン精機といった高い技術を持つグループ企業や下請けを傘下に持ち、確固としたピラミッド構造を形成してきた。

これまでのトヨタの強みは、ムダをくまなく排除した生産ラインにあった。必要なぶんだけ部品を作り、在庫を残さないように車体の完成までを行う『かんばん方式』や、業務の徹底的な『カイゼン』を行い、下請けとの綿密な連携を取ることで、コストカットや技術力の飛躍的な向上を成し遂げてきたのだ。

たゆまぬ企業努力のなかで築き上げられたピラミッドは、トヨタの成長とともに巨大化し、日本の雇用を支えるエグゼクティブ企業となった。

「トヨタ城下町」である愛知県・豊田市をはじめ、東北や九州に数千から数万人が働く巨大な工場を持ち、国内で年間300万台以上を生産している。

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