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企業・経営

共栄火災海上保険社長が考えた「頂上を目指さない」経営法

助川龍二氏に聞いた

共栄火災海上保険は、農山漁村の住民への保険の普及を目指し、1942年に農協、信金、生協などの前身である「産業組合」を母体に設立された企業だ。以来現在まで、農業・漁業や中小事業者などに関わる保険商品を開発、さらにはリスクコンサルティングも行っている。

保険のおもな販売チャネルは、JA、信金、生協などの協同組織で、筆頭株主はJA共済連。同社を率いるJA共済連出身の助川龍二社長(61歳)の話には「和の経営」と名付けたくなる世界観があった。

共栄火災海上保険の助川龍二社長

助け合いの精神で

【志望動機】

小学校2年生まで福島県の農村で育ちました。近所には雑貨屋さんが1軒だけで、街まで行かなければ何もない。私は野山を駆け回って、アケビやグミや桑の実をとっておやつにしていました。

近所の人たちからはキュウリや卵などをもらえたものです。中学生の頃は桃の産地に住み、農作業を手伝いました。桃を害虫等から守るため、一つひとつに新聞紙で作った袋をかけていくのです。

 

今と比べて便利ではなかったぶん、昔はみんなが助け合って生きていました。日本の主食である米作りも同じです。

田んぼは水が何よりも大事です。日本では古来、上流に近い場所に田んぼを持つ人が水を独占するようなことはありませんでした。お互い気をつかい合って順々に水が流れていく仕組みを作っていたのです。私は、もう一度このような文化が見直されてもいいのではないかと思います。

人は一人では生きてはいけないのです。大学卒業後、JA共済連に勤めたのは、そんな思いがあったからです。

【ちょっかい】

社長として常に意識していることは「いかに社員の率直な意見を聞きだすか」です。環境の変化についていくためには、現場発の提案をしっかり受け止めなくてはなりません。しかし、組織の中で革新的なアイディアを口にするのは意外と勇気が必要です。

そんな中「変えていいよ」「いままでのタガをはずそう」という言葉は社長にしか言えません。だから私は社員を飲みに誘ったり、「何かない?」と話しかけたり、いろんなちょっかいを出すことにしています。

「指示待ち人間」は、じつは上司が作り出しているのです。誰もが、仕事は効率的で楽しいほうがいいと思っているはず。社員が心の中に秘めている意見に耳を傾ければ、必ずいい会社ができると信じています。