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企業・経営 不正・事件・犯罪

データ改ざんで揺れる神戸製鋼「解体論」の現実味

「第二の東芝」になってしまうのか

すでに会社存続を危ぶむ声が

20代半ばの若き安倍晋三氏(内閣総理大臣)が勤務したことでも知られる、鉄鋼3位の名門・神戸製鋼所の品質に関するデータの改ざん問題が泥沼化してきた。

改ざんが多角化部門のアルミ・銅製品から、本業の鉄鋼製品に飛び火したことに伴い、納入先が200社から500社に膨らみ、「メイド・イン・ジャパン神話」のイメージを損ねる事態になっているが、問題はそれだけではない。

米司法省が情報開示を迫ったり、日本の国土交通省航空局に当たる欧州航空安全機関(EASA)が、「代替可能であれば」という条件付きながら神鋼製品の使用を手控える勧告を行ったりと、国際的に影響が広がり始めているのである。

一方、当事者である神戸製鋼所には、コトの重大さの認識や反省という感覚がないらしい。不正発覚後の自主点検の段階になっても、管理職らが不正の隠ぺい行為を続けていたことが明らかになった。

今後、ユーザーから問題製品の交換に伴う費用の請求や、損害賠償の要求が相次ぐことが確実視されるほか、神戸製鋼製品から他社製品への乗り換えが殺到して売り上げが落ち込むことも予測される。マスコミやエコノミストの間では、早くも、2期連続の最終赤字に沈んでいた同社の存続を危ぶむ声や、その先の国策救済の是非と方策を取り沙汰する声まであがっている。

 

タカタをつぶした米司法省の動き

まず、事態が次第に深刻になった経緯を、神戸製鋼所の発表を中心に押さえておこう。

発端は10月8日。自主点検で明らかになったとして、今年8月31日までの1年間に、アルミ・銅製品でユーザーと合意した水準を下回る製品の「検査証明書のデータを書き換えて出荷していた」と明かした。

この時点で、納入先が航空機メーカー、自動車メーカーなど200社にのぼること、改ざんは10年以上も前から行われていたこと、管理職を含む数10人が関与しており、組織ぐるみの不正だったことも明るみに出た。

3日後の11日には、当初の4事業所に加え、焼結用の鉄粉や子会社が手がける金属材料(ターゲット材)事業でも不正があったと追加発表。

翌12日には、新聞報道(日本経済新聞)で、問題の製品の供給先(200社)の中に、ほとんどの国内自動車メーカーのほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)、米テスラ、独ダイムラー、仏グループPSAといった海外自動車メーカー、米ボーイングと欧州のエアバスの2大航空機メーカー、米ゼネラル・エレクトリック(GE、航空部品)などが含まれていたことが判明した。

神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長謝罪会見をする神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長 photo by gettyimages

そして、13日夕方の川崎博也・神戸製鋼所会長兼社長の記者会見で、同会長自身が前日記者団に「ない」と強調していた本業の鉄鋼事業でも不正があり、納入先が500社に及ぶことを認めた。この中には、世界シェアの50%を握る主力製品の弁ばね用線材などが含まれており、経営問題への発展の可能性が表面化した。

17日の発表も大きかった。ボーイングやGE、GMで問題の製品が使われていることを受けて、米司法省が情報の提出を求めてきたというのだ。数日後、この要求が、拒めば罰則を伴う強制力を持つものだと判明することになる。

司法省と言えば、懲罰的な罰金を科してエアバックのタカタの息の根を止めたことが記憶に新しい。かつて「巨悪を眠らせない」と言われた日本の検察当局をしのぐコワモテで、政治的な動きも厭わない。伝統的に企業の不祥事摘発にも熱心だ。同省が本格的な捜査に乗り出せば、連邦法の詐欺罪などに問われるリスクが高まり、神戸製鋼所の経営危機が決定的なものになりかねない。

同じ日、欧州航空安全機関(EASA)も、アルミ製品(部材)の品質データ改ざん問題を懸念、欧州域内で運航する航空会社や整備関連企業に対し、神戸製鋼所製の部材を使っていれば速やかに当局に届けることや、安全が確認されるまで同社製以外の部品を使うよう促す勧告を出した。

こうした欧米当局の動きによって、世界規模で神戸製鋼所のブランド価値の毀損が避けられないことが明白になったのである。