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高齢者 介護

まるで生き地獄…「家族が死んでも面会させない」後見人の驚愕実態

成年後見人制度の深すぎる闇

本人も家族も、一切同意していないのに、家裁に勝手に後見人をつけられ、自由を奪われた母親と、その2人の娘が、後見人をつける手続きをした桑名市(三重県・伊藤徳宇市長)などを相手取り、2017年10月中にも損害賠償請求訴訟を起こす。

国が推進する成年後見制度を巡って、自治体相手の国家賠償請求訴訟が起こされるのは全国で初めてだ。

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今回は、その家族の証言をもとに、桑名市や後見人に指名された弁護士が行った、驚くべき家族への対応について、詳しくお伝えしたい。

母親を取り戻すため、仕事まで失って…

行政の独善で、悲劇の年月を送ることになった一家。もともと、母親は次女と実家で2人暮らしをしていた。父親は病気治療のため、姉夫婦の家で暮らしていた。

母親は、軽度の認知症はあるものの肉体的には元気で、散歩や身体を動かすのを好んでいた。そのため次女は、家の中では、できるだけ母親の好きなようにさせていた。

活発に歩き回る母親は、時折、家の中で転んで手足や顔に軽いケガを負うことがあった。だが、この程度のことは在宅介護の現場ではよくあることだ。

 

ところが2016年9月4日、母親がデイケア施設に出かけると、桑名市の職員が母親の身柄を無断で移し、どこかに連れ去ってしまったのだ。いったい、どういうことだったのか。次女が証言する。

「母は、脳梗塞の予防薬(注・血液の凝固を抑制する薬)を飲んでいたため、ちょっとしたケガでも血が止まりにくく、アザやコブができやすかったのです。ところが、役所はそれを私の虐待だと決めつけ、母を連れ去ってしまいました。

私は、母がケガをすれば病院に連れていって診察を受けさせていました。それに、母は外出が好きなので、積極的にデイケアにも通わせていたんです。

もし本当に虐待をしていたなら、病院には連れていかないし、ケガを知られるのを恐れてデイケアにも行かせないのではないでしょうか。

それなのに、役所は虐待と決めつけて、拉致するように母を連れ去り、施設に閉じ込めた上、勝手に後見人までつけてしまったんです」

役所は次女に対し、「虐待だと認定しているわけではない」と説明したが、実際は虐待と決めつけ「一時保護」を名目に、2人の娘や父親の同意も得ず、後見人までつけてしまった。

その後、2ヵ月間、家族は母親の居場所すら教えてもらえず、自分たちの力であてどなく施設などを探し歩いたという。

母を取り戻すために、私は仕事を辞めざるを得ませんでした(次女)

家族はのちに知ることになるのだが、母親を施設に入れた時点ですでに、役所は母親の「財産権」を奪おうとしていた。少々専門的になるが、役所は後見人をつけるよう家庭裁判所に申し立てる前段階、つまり後見開始審判前に、「保全処分」として母親の財産管理者の選任を申し立てたのだ。

これに応じて家裁は、管理者となる弁護士を選任している。母親を施設に押し込めるとともに、母親の資産から施設費用を払わせるためだったとみられる。

この弁護士は母親に、施設からの外出禁止と面会の制限を通告した。施設側も唯々諾々とそれに従った。

だが法律上、財産管理者はもちろん、より強い権力を持つ後見人であっても、被後見人(後見を受ける人)の外出や面会を制限したり禁止したりする権限はない

認知症などで判断能力が衰えた高齢者が、誤った判断をしたり、他人に騙されたりして、生活に必要な資産を失ってしまわないよう、その財産権を肩代わりして管理するというのが、本来の後見人の職務なのである。

その人の全行動、人格を支配し、命令しようなどというのは、明らかに越権行為だ。