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日本の若者が政治に疎いのは、選挙で○○が禁じられているから?

アメリカでは当たり前のこと

衆院選、学生たちの関心は…

筆者が教える明治大学で「異文化摩擦とコミュニケーション」及び「実践異文化ビジネス論」を受講している学生144名(1-4年生)を対象に、今回の衆院選に関するアンケート調査(2017年10月18-19日実施)を行いました。対象となった学生の年齢は、18歳から24歳までです。

調査結果を見ますと、66%の学生が「投票に行く」と回答し、「行かない」の34%を32ポイント上回りました。関心のある争点は、1位が北朝鮮問題、2位が憲法改正、3位が消費税で、「森友・加計疑惑」に対する関心は、原発や年金問題よりも低いという結果が出ました。

さらに、北朝鮮問題に焦点を当てて「米国が北朝鮮を軍事攻撃をするべきか否か」について尋ねたところ、63%が反対と回答したのに対して、37%が賛成と答えています。約4割の学生が米国の北朝鮮に対する軍事行動を支持しているわけです。

軍事行動賛成派の学生のうち、58%が「核施設を狙った先制空爆」、25%が「米軍の派兵」、17%が「先制核攻撃」にそれぞれ賛成と回答しました。

これらに加えて、戸別訪問と投票日当日の選挙活動についても質問をしました。日本では戸別訪問は公職選挙法第138条、投票日当日の選挙活動は同法第129条によって禁止されています。学生の意見は、戸別訪問の解禁について賛成が45%、反対が 55%で10ポイント反対派が上回りました。一方、投票日当日の選挙活動については、62%が賛成で38%が反対でした。

 

ちなみに、同じ項目について、昨年1月14日に筆者の講義「異文化摩擦とコミュニケーション」を受講している1・2年生を対象としたアンケート調査の結果と比較してみると、このときの調査では65%が戸別訪問に賛成、35%が反対の立場をとっており、賛成が多数派になっています。

これは、学生たちに筆者が戸別訪問の手法・意義について1年間講義を行ったので、そのメリットを理解してくれたためだと思われます。利点を正確に把握できれば、戸別訪問に対するネガティブなイメージは払拭できるということでしょう。

衆院選直前ということで、今回は米国での事例をもとに、選挙における戸別訪問の意義と必要性についてお話ししたいと思います。

インターンでも、みんな本気

日本では「戸別訪問」というと「金銭の授受が行われるのではないか」というネガティブなイメージが根強いですが、米国では戸別訪問はコミュニケーション戦略の一環であると認識されています。

米国の選挙では、選対でボランティアの運動員として働く高校生や大学生が、標的となっている有権者の家を訪問し、フェイス・トゥ・フェイスで、しかも自分の言葉で、候補者の政策や自分の信念を語って説得を行います。これがいわゆる「草の根運動員」です。

大統領選挙のみならず、連邦上下両院選挙、知事選、州の地方議員の選挙においても戸別訪問は行われるので、草の根運動員はそれぞれのレベルで選挙運動に参加できます。

米国の選挙の特徴をもうひとつ挙げると、米国の高校及び大学では、インターンシップ(就業体験)の選択肢として「戸別訪問を含めた選挙運動」が一般的になっています。「選挙インターンシップ」に参加する高校生や大学生は、自分で候補者を選んで陣営に入ります。彼らは、有権者登録の活動、電話による支持要請ならびに戸別訪問などを行い、活動内容をレポートにまとめて担当教授に提出し、単位を取得します。このようなシステムが、米国の高校や大学では確立されているのです。

もちろん戸別訪問には、教育効果も期待できます。戸別訪問を行う高校生や大学生は、初対面の有権者と自陣営の政策や選挙の争点について意見交換をします。意見交換を通じて、学生と有権者の相互学習が生まれるのです。戸別訪問は、まさに生きた有権者と触れ合うことのできるフィールドワークといえます。

しかも、米国における選挙インターンシップは、日本の学生が体験するような数日、下手をすれば半日で終わってしまうような企業インターンシップとは全く異なります。例えば、民主党のオバマ陣営やクリントン陣営の選対では、インターンの学生は約3カ月間ボランティアの草の根運動員として働いていました。

しかも、彼らは「お客さん」ではまったくありませんでした。2016年米大統領選挙で、東部ニューハンプシャー州の州都コンコードにおかれたクリントン選対では、地元のコンコード高校の女子生徒が、同じ高校の生徒や大学生のインターンのみならずボランティアの社会人までも仕切っていたのです。

筆者が会ったインターンは、その多くが単位取得のためにいやいや来ているのではなく、「自陣営の候補者を大統領にする」という固い意志を持って参加していました。