photo by iStock
不正・事件・犯罪 ライフ

「旦那が浮気したら制裁はバーキン(定価約136万円)」と言う女

A子ちゃんとB美ちゃんの複雑な感情⑧

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第4試合「不倫」対決のBサイド。

今回のヒロインは、夫が浮気しているかもしれないアラサー主婦。「制裁は当然」という彼女の言い分は?

*バックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki

高みを目指しそうなオーラ

学生時代には、年収が1億円に届きそうな経営者や、慶應病院の医者なんかと派手に遊んでいた彼女が、同じ大学出身で同い年の男と結婚した時、周囲は結構面食らった。大手酒造メーカーの宣伝部で働く彼女は、もちろん旦那の収入がそれほど高くなくとも生活は軽々と維持できるであろうが、さらに高みを目指しそうなオーラが、彼女の顔からはみなぎっていた。

photo by iStock

別に、収入が低いわけではない。というかむしろ、証券会社の彼の給料は彼女より、また多くの会社員より高かったし、彼の両親もまた都市銀行に現役で勤めているので、普通に考えれば条件のいい男なのだ。ただ、どうしても学生時代の「いいやつ」と言われがちな彼と、「さすが」と言われがちな彼女を知っている仲間はやっぱりどこか不釣り合いな気がして、結婚式では無駄にはしゃいでいた。

結果として彼女の選択は、とても賢いものであった。彼はより条件の良い外資系金融会社にヘッドハンティングされ、1億円とは言わないまでも、そこそこ高収入からかなり高収入くらいには出世したし、彼女と似たような女子たちが、高みを目指し過ぎて次々に未婚30歳を迎える中、彼女は30歳になった時にはすでに2歳の彼女似の娘に恵まれていた。

 

産休と育休をしっかり消化した後、一度もともと勤めていたメーカーに戻ったが、不本意な部署への異動をほのめかされ、頭にきて会社を辞めた。旦那の転職で世帯収入がかなり上がったことも彼女を後押ししたのだろうが、彼女の言い分は、「女は資格職じゃないと損する」という持論にたどり着いたからで、彼女も子育てが少しでも落ち着けば、資格の勉強を始めるつもりなのだという。すでに資料などはかなり揃えており、家でできる勉強は手をつけ出している。

給料が上がったぶん、もともと夕食を家で食べる日が多かった旦那の仕事は倍以上忙しくなり、夜は遅く、土曜日も出勤することが増えた。彼女自身が勤めていればむしろ大変ありがたいのだろうが、一時的な専業主婦となっている身としては苛立つことも増えたらしい。