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医療・健康・食 ライフ 週刊現代

降圧剤を飲み続けると、EDになる可能性

飲まない人とは2倍の差が…!

どうもこのところ勃ちが悪くて…。実はそれ、飲んでいる「血圧の薬」のせいかもしれません。

飲まない人とは2倍の差が

千葉県松戸市在住の山本雄一郎さん(62歳・仮名)は、やや悲しげな表情を浮かべてこう振り返る。

「2年前の夏、血圧が150mmHgを超え、妻に言われて循環器科にかかったんです。医師と相談して降圧剤を処方してもらうことになり、いろいろ種類があるなかから『利尿薬』を選びました。ほかに比べて値段が安いのが決め手でした。

2週間降圧剤を飲み続け、血圧は上が130程度で安定してきたのでホッとしました。

ところがそのころから『勃ち』が悪くなり、ついには全然硬くならなくなってしまった。最初は体調のせいかと思いましたが、時間が経っても改善の兆しがない。

思い切って薬を処方した医師に聞いたら、『降圧剤のせいでしょう』と言う。降圧剤にそんな副作用があるなんて知らなかった。驚きました」

多くの男性が、年齢を重ねると高血圧に頭を悩ませるようになる。そこで、上がりすぎた血圧を下げるために用いるのが降圧剤だ。毎日飲み続けなければならないため、服用が習慣化する。

だが、何の気なしに薬を飲み続けていたところ、気がつけばいつのまにか勃起不全(ED)になっていた――こうした例はきわめて多い。

「降圧剤を飲むとEDになりやすいのはたしかです。そうした報告は数多く出されていますし、公益財団法人日本医療機能評価機構が出している『ED治療ガイドライン』でも、降圧剤がEDの『リスクファクター』のひとつであると認められています」と解説するのは、虎ノ門・日比谷クリニック院長で泌尿器科医の大和宣介氏である。

「実際に私が診た患者さんのなかにも、『カルシウム拮抗薬』という降圧剤を服用した後で『下のほうの元気がなくなった』『勃起しなくなった』と相談に訪れた方がいました。そういうときは、薬を別の種類の降圧剤に変えるなどして対応をしています」(大和氏)

これまでEDの主要な原因は「高血圧」であるとされてきた。しかし近年になって、降圧剤も、高血圧とは独立してEDのリスクであることが明らかになりつつある。
以下の研究が、そのことを示している。

ギリシア、バルカン地域で最大の学生数を誇る名門校テッサロニキ・アリストテレス大学。この大学で泌尿器を専門とするミヒャエル・ドーマス氏らのチームが、同国に暮らす358名の男性(年齢は31~65歳)の高血圧患者を対象に調査を行った。

結果は驚くべきものだった。

被験者のうち、降圧剤を服用していた患者のグループでEDに罹患していた割合は40.4%にのぼった。一方、降圧剤を服用していなかった患者のグループでは、EDに罹患している人は19.8%にとどまった。

つまり、降圧剤を飲むことによって2倍以上もEDになりやすくなったということだ。

 

さらに、この研究では別の事実も明らかにされている。1種類の降圧剤を使っている人でEDに罹患しているのは36.3%だったが、2種類以上の降圧剤を併用している患者の罹患率は46.7%だった。複数の降圧剤を使っているほうがEDの罹患率が高いということだ。

スウェーデンではこんなデータも出ている。1990~2006年、薬の副作用としてEDの症状が出たという報告が225件あったが、そのうち59件(26%)が降圧剤によるものだった。

いま、日本には1130万人のED患者がいると推計されている(「たまに勃起できる」などの中程度EDも含む)。年代別にみると、40代の5人に1人、50代の2.5人に1人、全世代(30~70代)の4人に1人がEDだという。もはや「国民病」だ。

もしかするとそのEDの多くは、降圧剤を原因としているかもしれない。先の『ガイドライン』では、新規ED患者の25%が、薬によって発症しているというデータが紹介されているのだ。

降圧剤を飲んでいて、「勃起しにくい」と感じているのであれば、それは薬によって引き起こされている可能性が高い。

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