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セもパも「大枚はたいて大物を呼ぶ」球団経営はもう古い

勝利と同じくらいファンを愛そう

「結果と動員」をどう安定させるか

今季の野球もあとはポストシーズンと、ドラフト会議を残すのみですね。

WBCから始まった濃厚なシーズン。僕は約20年ぶりにオリックスに携わらせていただき、とても勉強になりました。

よく現場で「この20年でパ・リーグは変わりましたか?」と聞かれます。

答えになっていないかもしれませんが、変わった部分と変わらない部分がありますね。僕は現役時代からパ・リーグを盛り上げて行きたいなと思っていたので、各球団にお願いして現場を見学させてもらったり、関係者と会ったりしてきました。まずはお客さんが入ってくれるようになったのが大きな進化でしょう。

NPBのHPにはリーグ別の入場者数が毎日、更新されていますが、これによると今季はセ・リーグが1試合平均で約3万2000人、パは同2万5000人となっています。

同じくNPBのデータを遡ると、30年前の1987年はセが30000人・パ17000人だったのが、20年前の97年にはセ33000人パ・24000人となっています。10年前の2007年は、セ28000・パ20000人、と両リーグ共に少し落ち込みますが、セは3万人前後で推移していて、パは70年代後半からゆるやかに成長曲線を描いてきました。

巨人のV9などがあった60年代から70年代前半などは、セばかりに人気が集中し、パは平均動員1万人など夢のまた夢で、「人気のセ、実力のパ」などと言われていましたが、それはもう過去の言葉になりました。

もちろん、まだまだ数字もサービスも改善の余地はありますが、長期的なチーム作りを狙って補強と育成を続けてきたソフトバンク、地域活性を数字に繋げた日本ハム、独自の応援でスタンドに球団の色をつけたロッテなどなど、各球団の姿勢と努力が徐々に実を結んでいると言っていいかもしれません。

 

ただ、どうしてもどの球団も「結果と動員」がリンクしてしまうんですね。勝っているシーズンには当然ながら、お客さんは集まりますが、負けてしまうと離れてしまうライトなファンも多い。このあたりが日本のプロ野球の課題、裏を返せばポテンシャルでしょうか。

そういう意味では阪神は国内では理想に近いファンとの距離感を作った好例です。

今季も1試合平均42000人の入場者総数300万人超えは、それぞれ12球団1位。ペナント2位という好成績が後押ししていますが、ものすごい数字です。

そして特筆すべきはBクラスで終わった昨季も同等の数字(入場者総数280万人)を残しているのです。

もっと遡ると、阪神は順位にかかわらず動員は20年以上「Aクラス」を保っていて、最下位だった99年シーズンなどは、優勝した中日よりも動員しているんですね。これは土地柄、熱いファンが多いことも関係していますし、関西圏特有のユーモアもいい方向に働いている部分はありますよね。

「ダメ虎」と嘆きながら楽しんだり、デイリースポーツも「猛虎破竹の2連勝!」と見出しにしたりと、なんでもネタにしてしまう人々が自虐的に応援しているのも一種のカラーになっています。

もちろん勝つにこしたことはなく、球団と現場はペナントを奪うために全力を注ぎますが、一方で熱くて愛のあるファンがいるから、救われている部分も大きいですよね。野球文化が根付いた日本でも有数の球団でもあります。