政治政策 政局

「小池マジックの限界」が、音喜多都議の告白から見えてきた

「私たちは、ただの手駒なんですか?」
伊藤 博敏 プロフィール

「言行不一致も甚だしい」

「独裁色」を証明するのが、党の規約作りだろう。党の骨格を決める規約。音喜多氏は、仲間やブレーンとともに他党や海外の政党も参考に分厚い規約を作成するが、「これじゃダメ」と、野田氏にはねられたという。

「理由は、『意思決定が遅過ぎる』というのです。それはつまり、代表である野田さんと背後の小池さんが、(このような党規約を作ってしまえば)自由に役員人事や党の方針を決められない、ということなんです。しかも規約は、我々にオープンにしなかった。

ようやく配布したのは、9月11日。荒木(千陽)さんが(都民ファーストの会の)代表になってから。私がギャンギャン言ったせいもあり、夜にメールで送られてきました。なぜ公開しないのか? 議決機関と執行機関が分かれていない。そんな中学校の生徒会以下のような恥ずかしい規約なんで、外に出せないのでしょう。未だに部外秘です」

 

モノをいう人間へのパージはさらにひどくなり、党の会計がどうなっているのか、希望の塾の会費はどう使われているのか、都議候補の選考基準は何なのか、といった点がブラックボックスに包まれ、それを指摘する人もいないという意味で、都議会自民党と同じ構図になったという。

しかし、小池人気はそんな内情とは関係なく高まるばかり。都議選は圧勝して55議席を獲得した。

本来なら、それを機に党を創成期の第一ステージから規律と秩序をもたらす第二ステージへと移すべきだろう。だが、代表すらも相変わらず小池氏の一存で決められ、議論の余地はなかったという。そのうえ締め付けは一層、厳しくなった。

「7月の都議選後にSNSの指針が配られ、他党の批判などが禁止され、取材は党本部の許可制となり、まったくといっていいほど許可は下りなくなった。言論統制はなはだしく、支援者に対してモノを言うこともできない。それでは議員としての務めを果たさないことになる。

そんな党が情報公開も必要性を訴え、ブラックボックス批判をする。言行不一致もはなはだしいのですが、そうした不満が党内に渦巻いているのに、今度は国政だという。

都民への約束を果たさず、野望を燃やして突っ走る。都民ファーストの会がそうであったように、希望の党も小池さんの手駒でしかない。それを承知で希望の党を応援する気にはならず、離党を決意しました」

そんな小池氏を都知事に担いだ「製造者責任」は感じているし、支援者のなかには「党に残って改革すべきだ」という意見も少なくなかった。だが、音喜多氏はその責任は自覚しつつ、「希望の党への抵抗感を抱えたまま候補を応援することはできず、離党するなら今しかない、と考えました」という。

党内の自由闊達な議論や民主的運営は、合意形成に手間暇がかかる。日本新党をはじめ数々の新党に参加してきた小池氏は、「独裁」こそが権力を掌握し、自分の野望を満たす早道であることを知悉している。65歳という年齢もあり、究極の目的である首相の座を手に入れるには急がなくてはならない。

そんな焦りが、「物腰は柔らかく、聞く耳は持っていて、尊大さなどない」という中庸の小池氏を計算づくで「独裁者」にした。

だが、今回、その焦りが、「踏み絵を踏ませる」という高圧と、民進党選別や公明党への秋波といったあざとさに繋がって、風は吹かない。独裁者を望む者はいないのだ。