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小池新党が打ち出した「内部留保課税」本当にやるべきか

「右」と思ったら経済政策は「左」?
磯山 友幸 プロフィール

一方で、内部留保が設備投資や人件費に回らない状況が続いていることに、他に打つ手がないのも事実だ。

安倍内閣は企業の国際競争力を維持するために、法人税率の引き下げを断行してきた。その結果、企業の法人税負担は減ったが、一方で人件費の割合、いわゆる「労働分配率」は67.5%で、付加価値の総額298兆7974億円のうち人件費に201兆8791億円が回っている。企業収益が増える一方で、この労働分配率は低下を続けてきたのだ。

麻生太郎副総理兼蔵相も、「法人税率を引き下げるのはいいが、内部留保に回ってしまっては意味がない」と繰り返し苦言を呈している。

企業に内部留保を吐き出させる順当な政策としては、設備投資減税など再投資を優遇する手法が一般的だ。だが、この手法は繰り返し取られてきたが、なかなか設備投資に企業の資金が向かない。内部留保に課税するぞ、と言えば、嫌々でも設備投資に資金を振り向ける可能性はある。

 

あまりに社会主義的な政策

小池氏は政策スタンスとしては「右」だと言われている。ところが今回の選挙公約に盛り込まれた経済政策はかなり「左」だ。内部留保課税もそうだが、もうひとつ盛り込まれた「ベーシックインカム」もかなり左派的な色彩の強い経済政策である。

ベーシックインカムはすべての国民に一定の所得を保証しようという発想で、低所得者にも失業者にも一定の所得までは給付金を支給するというものだ。実際に、スイスなどで導入論議が盛り上がり、国民投票にかけられたこともある。

スイスでは国民投票において大差で否決された。その際、保守政党などは「働いても働かなくても一定の所得が保証されることになれば、働く意欲をそぎ、経済全体が成長力を失う」という反対論を展開した。格差拡大に反対するリベラル政党は賛成の論陣を張ったが、結局、国民投票では否決され、導入されることはなかった。

希望の党はアベノミクスに対抗して「ユリノミクス」を掲げ、民間活力を引き出して、経済成長と財政再建の両方を目指すとしている。経済成長を否定しないところはアベノミクスと共通するが、内部留保課税やベーシックインカムはかなり左派的である。

この公約が選挙向けのものなのか、国会で一定の勢力を保った後も実現を迫る経済政策になっていくのかは分からないが、有権者がこうした経済政策にどんな反応を示すのか、注目したい。