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「安倍政権の野望」は是か否か、選挙の争点はそこだろう

国難、国難というけれど

「国難突破解散」に大義はあるのか

衆議院議員総選挙が22日に投票日を迎える。それにしても、日本の憲政史上、これほど現政権・現職総理の露骨な自己都合による解散総選挙も例がないだろう。

安倍晋三総理は「国難突破解散」と宣うが、失われた10年・20年といわれる月日が今も継続する中、いわば我が国は常に国難に晒され続けてきている。

確かに、北朝鮮情勢は深刻だが、いまさら戦前戦中に好んで使われた「国難突破」などという言葉を弄して危機を煽ること自体がレトリックじみて胡散臭い。実態が「森友・加計学園問題隠蔽解散」に過ぎないことは多くの国民の目に明らかだ。

なるほど、第二次安倍政権が発足してから、表向きの経済指標は好転したかに見える。円安・株高によって企業収益は過去最高水準に達し、有効求人倍率も直近の値で1.5倍を超え、バブル期以来の高水準となった。

完全失業率も2%台の低水準を記録している。経済優先主義的観点からは、アベノミクスには一定の効果があったと評価するのがフェアかもしれない。安倍政権が高い支持率を維持し続けてきた最大の所以はまさにここにある。

しかし、これは日銀を抱き込んだ金融緩和政策が短期的に功を奏してきたからであって、必ずしも実体経済が上向いているわけではない。

日銀は、デフレ脱却を名目として国の借金である国債を大量に買い続け今やその保有残高は430兆円を超えている。さらには、ETF(上場投資信託)を通じて上場企業株も年間6兆円の規模で買い続け株高を演出している。

一方で、これだけの「異次元金融緩和」をやり続けても、黒田日銀総裁が目標としてきた物価上昇率2%の達成は既に6回も先送りされている。

アベノミクス効果の持続を演出するために、このまま出口の見えない金融緩和を続ければ、日銀が債務超過に陥ったり、国の財政破綻を招いたりするリスクが高まっていることは認識しておかねばならない。

 

安倍政権の正体

そもそも、安倍政権の正体とはなんであろうか。

太平洋戦争で加害者としても被害者としても筆舌に尽くせぬ体験を踏んだ我が国は、敗戦したことによって国家主義的、全体主義的、軍国主義的な流れを断ち、「主権在民の平和国家」として生まれ変わった。

誤解を恐れずに敢えて公言すれば、我が国は戦争に負けて良かったのだ。負けたことによって覚醒し、世界でも類を見ないほど個人の自由が保障された人道主義的国家として復活し大きく発展した。

しかし、そうは思わない人たちもいる。

大勢の犠牲を伴ったあの決定的な歴史の変化点を受け入れず、「美しい日本の再建と誇りある国づくり」と称して、列強の一角をなした時代に巻き戻すようなことをやろうと画策している人たちだ。その人たちに支持されているのが現安倍政権なのだ。

「世界の真ん中で輝く国創り」というスローガンの裏には、たとえ米国への隷属性を高めようとも、再び強国として世界を睥睨したい、という国家主義的野望があることを見抜かねばならない。

もともと、特定秘密保護法や安全保障関連法や共謀罪はそのためのものであるし、核兵器禁止条約への不参加や、北朝鮮問題でのトランプ米大統領の好戦的な国連演説に迎合した安倍総理の演説などは、前述の解釈を裏付けている。

しかし、これらの政治的行為は、70年余にわたる平和国家としての努力を無にし、国家の恥を広く世界に晒したようなもので、多くの国民の意識とは乖離している。

経済人の立場から最も憂慮すべきは、安保関連法をなし崩し的に成立させた一連の動きの中で、「武器輸出三原則」を撤廃し、「防衛装備移転三原則」なるものに置き換えて、事実上、軍事技術や武器の輸出ビジネスを解禁したことである。

経団連をはじめとした経済団体は、もろ手を挙げてこの動きを歓迎し、防衛省が主導して武器技術の海外展示会などに多くの日本企業が出展するに至っている。