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企業・経営

飲食店経営の素人が「地獄」に落ちないためのこんな方法、教えます

やっぱり頭を使わないと勝てない

筆者はこれまでに2本、飲食店経営に関する記事を執筆・公開してきた。そこでは、素人が安易に飲食店を開業することがどれだけ難しく、実際に「地獄」を見ている経営者がどれだけ多くいるかを指摘した。飲食店について学ぶことは、まさに経営学を学ぶことだとお分かりいただけたのではないだろうか。

とはいえ、言うまでもなく世の中には成功している飲食店経営者もいる。私の周りにも成功している飲食経営者が数多くいるが、かれらは、飲食ビジネスを調べ尽くしたプロ中のプロであり、自身が積み上げてきた経験と、練りに練られたビジネスモデルを武器に、丁寧な経営をしている。

前回記事にも記したが、私は決して飲食経営を考えている人を揶揄したいのではなく、「安易な飲食店の開業」にはリスクがあると警鐘を鳴らしたいだけである。逆にいえば、緻密な事業計画を立て、あらゆるリスクと困難を想定し、高い情熱のもとで実行に移す気概を持った人を止めるつもりは毛頭ない。

 

これまで私は、記事を通じて飲食店経営の「地獄」を見せてきた。天国と地獄は一体で、飲食店経営の世界にも天国はある。今の時代に飲食店で成功するためには、何が必要なのか、何を考えればいいのか。今回は、実際に成功している飲食店をモデルにしながら、そのヒントを示したいと思う。

大手に出来ないことを考える

まず、一番大事なのが「大手チェーン店に勝とうとしない」ことだ。

これまで見てきたように、大手の飲食チェーンは、さまざまな経営管理手法をアレンジし、規模の経済を存分に生かしながら経営をおこなっている。こんな店とまともに張り合おうと思うのは、そもそも間違いである。まずは彼らにできない、彼らとバッティングしない店にするには、どうすればいいのかを考えるところから始めなければならない。

個人経営の飲食店には出来て、大手には出来ないこと…それは、「知り合いを巻き込み、コミュニティー化すること」だ。まずは知り合いを「お店を愛してくれるお客さん」として巻き込み、そこからさらに新しいお客さんを呼ぶ。これがセオリーである。

前回の記事では、「友達の罠」、つまり、友達を当てにしてはいけないと伝えたが、問題は、どのように友達に参加してもらい、店にも来てもらう工夫をすればいいのか、ということだ。

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火種をみんなに作ってもらう

これは、先日開かれた飲食事業者向けのカンファレンスイベント「FOODIT」に出席していたホリエモンこと堀江貴文さんも唱えていたものだ。要約すれば、「飲食の究極は人と人とのコミュニケーションの場である、ということであり、店主とその場所に集う常連客の『場』を作れるかどうかが重要。場を作ることができれば、友達も、その友達も継続的に来店してくれる」というものである。

実は堀江さんは、飲食店経営者の浜田寿人さんと共に運営している「WAGYUMAFIA」でそれを実現している。「WAGYUMAFIA」は、日本の至宝である和牛を世界へ広める拠点として、赤坂や中目黒、西麻布に会員制のレストランやサンドイッチ専門店などを展開している。

私もこのイベント運営に、遠巻きではあるが司会などの形で参加させてもらっている(プロフィールにも書いたが、私は神戸牛をヨーロッパに販売するビジネスの立ち上げをやっていたことがある)。

彼らは数年前からレンタルキッチンやレストランなどを貸切りにして和牛を食べる会を開催。友人たちを招待し、メニューなどのトライアンドエラーを長い時間をかけて行ってきた。こうして「将来のお客様」を作りながら、友人たちに忌憚ない意見を聞き、メニューや業態のコンセプトを設定していったのだ。このような会は、会費制にしているので持ち出しもほとんどない。

まず、ここに集う友人たちは、自分たちがメニュー開発に参加している感覚にも陥ることから、店のオープンにむけて、すでに当事者のひとりとなっている。店の当事者になれば、オープンすれば当然足を運ぶし、「私が開店の手伝いをしたんだ」と言って友人も連れてくるだろう。さらに事前にお店のコンセプトがわかっているので、イメージとは違う店だった、と失望を買うこともない。