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希望の党・経済ブレーンが初めて明かす「ユリノミクス 本当の狙い」

批判にもすべて答えます
安東 泰志

消費増税分ぐらいはすぐ捻出できる

希望の党は「自民党の補完勢力」とか、「第2自民党だ!」という批判がありますが、政策立案に携わってきた私としては、これは非常に違和感のある指摘です。希望の党は決して自民党と同じではありません。

アベノミクスのいわゆる第1の矢の「金融政策」、第2の矢の「財政政策」、第3の矢の「規制緩和などの構造改革」という建てつけは、たしかにユリノミクスも同じです。第1の矢の金融政策は、小池さんは日銀・黒田東彦総裁の緩和方針を当面は支持している。しかしユリノミクスは第2の矢の「財政政策」、第3の矢の「規制緩和・構造改革」の中味は、アベノミクスとは全く異なっています。

それを説明するためには、まず「消費増税凍結」という公約からお話しなければならないでしょう。

 

これには特に自民党の増税容認派から、「膨大な借金を抱える国の財政再建をないがしろにする行為」という批判がありますが、決してそうではありません。まずは今、消費税を上げたらどうなるのかを見て行きましょう。

日本のGDPの約6割を占めている個人消費は、現在、どんどん下がってきています。その要因は、率直にいえば賃金が上がらないから。非正規やパートタイムの方の時給は確かに上がっていますが、彼らは短時間労働が主なうえ、正規労働者も含めた賃金は上がっていない。そのため一人当たりの賃金はほとんど伸びてはいません。

しかも安倍さんは「失業率が3%まで下がった」ことをアベノミクスの成果と強調しますが、内閣府の試算によれば、正社員になれずにやむなく非正規労働者になっている人も含めた「広義の失業率」は、8.4%台(16年1~3月の平均)にも上っているのです。

非正規雇用が拡大し、さらに一人あたりの賃金も抑制されている。……こんな状況で消費増税に踏み切り、一世帯あたり年間6万円の負担増を迫れば、どうなるでしょう。労働者を痛めつけて、消費がさらに落ち込んでしまいます。

これでは消費税による税収は増えても、経済が失速し、その他の税収が減ってしまい相殺されてしまうでしょう。増税してしまえば、肝心の財政再建もままなりません。

【PHOTO】gettyimages

では希望の党は増税せずに、どんな手法での財政健全化を考えているのでしょうか。

安倍政権は2020年までに「プライマリー・バランス」(基礎的財政収支・以下PB)を黒字化するという方針を立てていましたが、実はそれは元から破綻している計画でした。

PB黒字化には、実質GDPにして2%の成長が必要でしたが、アベノミクスが始まって以来、実質GDPが2%を超えたのは、2013年の一度きり。しかも「今回は増税はするが、子育て支援に使う」ということにしたため、税収の増加は2兆円強程度に過ぎなくなり、結局2020年までのPBの黒字化は頓挫してしまいました。

一方で希望の党は、PB黒字化の方法をしっかり議論しています。

現在、毎年のように巨額の補正予算が組まれています。13年1月には10.2兆円、13年12月には5.5兆円、14年12月には3.1兆円、15年12月に3.3兆円。16年8月に7.5兆円でしたが、これは本当に必要な予算だったのか。その中味をみると、復興予算のように必要なものもありますが、多くは中小企業の救済や地方創生の名の下に行われた「バラマキ」だったのです。採算性に乏しく、将来の負の遺産となるのがほぼ確実、といったような〝不要不急″のインフラ投資などもありました。

こうした補正予算を、いわゆる「ワイズ・スペンディング」という観点から、費用対効果を図り、効果的な公共投資に絞っていく。それだけで安倍政権が強行するという消費税2%の増収分の2兆円くらいは、すぐに捻出できてしまいます。