野球

プロ野球のコーチは2つのタイプに分類できる…権藤博さんの言葉

得も言われぬ説得力がある

コーチに与えられた永遠のテーマ

プロ野球のコーチは、「どうしましょう派」と「こうしましょう派」の2つのタイプに大別することができる――。野球評論家・権藤博さんからこんな話を聞いたのは、つい最近のことです。監督、コーチとして豊富な経験を持つ権藤さんの持論だけに得も言われぬ説得力がありました。

この2つ、どう違うのでしょうか。権藤さんによれば、「どうしましょう派」は端的に言って“使えないコーチ”ということです。たとえば、リリーフにはAとBがいる。Aはこうです、Bはこうですと理論立てで説明するものの、権藤さんによれば、所詮、それは失敗した場合のアリバイづくりに過ぎない、というのです。

 

Aで行くべきか、それともBか。失敗した場合、責任をとらされるのは、あくまでも監督です。ならば、「もっと説得力のある情報をくれ」と監督が考えるのは当然でしょう。傍観者のようなコーチは要らない、ということかもしれません。

しかし、権藤さんによれば、困ったことに最近は「どうしましょう派」が増えているというのです。まるでどこかの官僚のように説明は上手だが、言葉だけが躍り、責任を取る覚悟がない。「コーチという役割を隠れ蓑にして、自らの生き残りしか考えていない」と権藤さんは嘆いていました。

これはプロ野球に限った話ではないかもしれません。中国から伝来した「科挙」の影響からか、日本では能吏型の指導者が好まれます。出過ぎない、逆らわない、嫌われない。これが出世の3原則だとしたら、何とも寂しい限りです。

権藤さんは、昔から「こうしましょう派」でした。というと、則を超えたコーチのように思われるかもしれませんが、それは違います。スタンドプレーとも別物です。「あくまでも最終決定するのは監督。堂々と(コーチの意見を)却下すればいいだけの話」と、そこは割り切っています。

最終決定、すなわち「決断」をするのは監督です。しかし、コーチにも「判断」する気概と覚悟は求められる――。それが権藤さんの考え方です。

もちろん、コーチの中にも少数ながら「こうしましょう派」は残っています。何人かの名前が思い浮かびます。

先に出過ぎない、逆らわない、嫌われないが出世の3原則と書きましたが、だからと言って、ただ目立てばいいというものでもありません。自らの立ち位置と監督との間合いは、コーチに与えられた永遠のテーマといっても過言ではないでしょう。