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ADHDの息子が、保育園で「つるし上げ」にあった日

発達障害の息子と漫画家母の奮闘記②
かなしろにゃんこ。 プロフィール

ADHDの子すべてに暴力が見られるわけではありません。優しくておとなしくて、まわりからいじめられてしまうような子もいると聞きます。ところが、保育園時代の息子は、バッチリ乱暴なタイプ。

怒り出すだけではおさまらず、オモチャを投げてお教室のみんなを恐怖のどん底にたたき込むという、見過ごせないことをくり返していたんです。

おかげで保育園の先生もお手上げ状態。とうとうクラスの子全員に囲まれて「オモチャを投げない」「ぶたない」約束をさせられてしまいました。

ある日リュウ太をお迎えに行くと、

「実は今日、お教室のみんなでリュウ太くんについて会議をしたんです」

と、先生から報告をいただきました。

先生「みんな、リュウ太くんをこわがっています。オモチャを投げる、暴言をはく、怒鳴る。そんなリュウ太くんをみんながどう思っているか、本人にわかってもらうために話し合ったんです」
私「は、はい……」

 

保育園の先生によると“会議”の最中、子どもたちは、

「おおきいこえでうるさい」
「なにかとんでくるのがこわくてヤダ」
「そんなことするのは、ともだちじゃない」

こうリュウ太に、口々に訴えたそうです。

先生がセッティングした場なので、これは俗にいう「吊し上げ」になりますが、小さい子は自分以外の人間の痛みをまだ理解できないし、息子は空気が読めないので、当時は「みんなそのくらいで怒るなよ」ぐらいにしか思っていなかったのではないかと思います。

報告をいただいたとき、私は「うちの子がご迷惑かけて申し訳ない」と落ち込みましたが、「そんな約束したってこの子は3歩も歩いたら忘れちゃうんです、忘れないでいてくれることなんか、無理なんです」と思いつつ、そう言ってしまいたい気持ちを飲み込みました。

注意欠陥が重度なので、小さい頃から自分に興味のないことは覚えられない、という特性が息子にはありました。だから、同じヘマをくり返してしまうのです。発達障害のことは知らなくても、リュウ太の特徴はなんとなく経験でつかんでいたので、わかったことです。

「どうしたらいいんだろう?」
「どうしたら、リュウ太はかわれるんだろう?」

こんな思いが頭の中をぐるぐる駆け巡って、でも、いい考えは浮かばない。その日、私は泣きながら帰りました。

こういう“会議”は、本当はよくない方法なんだろうと思います。でも、先生だって困り果ててやったことだったんでしょう。「リュウ太に発達障害がある」と、私に気がついてほしい……そういう思いがあったんだと、今になるとわかります。

その後、女の子を叩いたことで父親から、

「女子に手を挙げるヤツは許さない!」

とこっぴどく怒られ、何度も刷り込むように言われ続けた結果、女の子には手を出さなくなったようです。それはまだいいんですが、かわりに絡んできた男子に対しては容赦なく戦う子になってしまいました(涙)。

「目には目を!歯には歯を!」な、やられたら倍返しな息子・リュウ太は、この後小学校で親をさらに困らせることになります

漫画4
※今回のマンガの一部は、私がポータルサイト「LITALICO発達ナビ」に描いているコラムや、電子書籍『かなしろにゃんこ。のマンガ絵日記 ADHD息子の育て方』(Gakken、アマゾンで購入可能)からアレンジして掲載させていただきました。こちらにもいろんなエピソードを描いていますので、よかったら見てください!

(第3回につづく)