選挙 政局

それでも小沢一郎は「小池の出馬と首相就任」を諦めてはいない

【ドキュメント】小池政局の深層
中野 弘毅
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それゆえ小池は、たとえ自民党東京都連とは鋭く対立しても、首相の安倍ら政権幹部とは東京五輪などで協力していく姿勢を崩さず、かつての新進党の仲間でもある自民党幹事長の二階俊博とも、電話で頻繁に連絡をとってきた。

しかし、そこに小沢はくさびを打ち込もうとした。小池が実質的に率いる「都民ファーストの会」が圧勝した7月の都議選後、小池と会談した小沢は、

「もはや自民党に担がれて首相の座に就くという考えは捨てて、野党連携で首相を目指したほうが現実的だ」

こう小池に進言したのだ。

小沢はかつて、自らが説得して連合や創価学会を味方に付けたうえで、自民党離党組から公明党、社民党まで実に8つもの党・会派を糾合し、細川政権を成立させた。小沢が思い描いていたのは、その再現である。

小池もまた、細川率いる日本新党から参院選に初出馬して政治の世界に飛び込み、細川政権の誕生を間近に見ている。小池は小沢の話に真剣に聞き入った。

 

「過半数割れなら、どうにでもなる」

その後小沢は、かねてから親交を深めてきた前原誠司が民進党代表に就任すると、直ちに前原とも会談の場を設け、小池がその後まもなく結成することになる国政新党(=希望の党)との合流をさっそく持ちかけている。

小沢・小池・前原の3者がじっくりと話し合ったのは、安倍の衆院解散表明を受けて9月末、小池が自ら「希望の党」を設立すると表明したのとちょうど同じ頃のことだ。もちろん、場をセッティングしたのは小沢である。

そこで小沢は、

「ブームを起こすためには、小池さんが自ら立候補することが必要だ」

と言い切り、小池に出馬するよう強く訴えた。さらに小沢は、こう続ける。

「もしあなたが出れば、自公を過半数割れに追い込むことも夢じゃない。仮にそこまで行かなくても、自民党単独で過半数を割るところまで持っていけば、自民党内は大混乱に陥る。あとは、どうにでもなる」

小沢が滔々と語ったのは、この総選挙で、いかにして一気に「小池首相」を誕生させるか、その秘策である。

まず、小池の「希望の党」が民進党を丸ごと抱え込み、出来る限り野党候補を一本化して自民党を追い込む。自民党単独過半数割れを実現すれば、自公で何とか過半数を維持したとしても、安倍は退陣を表明せざるを得ない。

今の自民党内には、誰もが納得する首相候補は見当たらない。そこに自分がくさびを打ち込めば、自民党を分裂させて一気に「小池首相」を誕生させることも十分に可能だ――。

続けて小沢が披露した、自民党の党内情勢と「ポスト安倍」に関する見立ては以下のようなものだった。

安倍が退陣を表明した場合、国民の人気が根強い「二番手」石破茂は党内では嫌われ者で、議席を減らした自民党においては、総裁選出馬に必要な20人の推薦人を集めることすら容易ではない。

副総理の麻生太郎も、再びの登板に強い意欲を示しているが、何しろこの9月で77歳を迎えた後期高齢者だ。麻生派以外にまで支持が広がるとはとても思えない。

首相候補として最有力なのは、安倍の「お気に入り」である党政調会長の岸田文雄だ。

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