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がん代替医療「死亡リスク2.5倍」の大きな衝撃!

エビデンスだけがすべてではないけれど

昨年乳がんの手術を受けた女優の南果歩さんが、日本対がん協会が主催する乳がん啓発のための「ピンクリボンシンポジウム2017」で講演し、抗がん剤をやめて、代替医療に頼っていることを明かしたという。

講演では、抗がん剤などの標準治療の重要性は十分に理解したうえで、あくまで個人的な決断として代替療法を選んだと述べられたというが、一部メディアでは「見本にしてほしい」と述べたことがクローズアップされて報じられたため、大きな波紋を招くこととなった。

南さんのケースに限らず、近頃は著名人ががんの公表をすることが増え、その際に代替医療について話題に上ることも増えた。小林麻央さんや川島なお美さん、スティーブ・ジョブズ氏などのケースは、多くの人の記憶に残っているだろう。

南果歩さん 〔PHOTO〕gettyimages

がんの代替医療を受けた人の死亡率は2.5倍

一方、先ごろ、非常にショッキングな論文が、アメリカの国立がん研究所の専門誌に発表された。

イェール大学の研究チームによるその論文では、がん(乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん)に罹患し、代替医療を受けた人の死亡リスクが、標準治療を受けた人の2.5倍に上ることがわかったと報告されている

論文では、同研究所のデータベースに登録された患者840人のデータを集め、代替医療を選んだ280人、一般的治療を選んだ560人の5年間生存率を比較した。その結果が、上の数字である。

さらに、比較的若年で、収入と学歴が高い人が、代替医療を選択する傾向にあることも報告されている。

 

かつて多くの生命を奪っていた病でも、医療の進歩によってもはや「死に至る病」ではなくなったというものがたくさんある。肺炎、結核などの感染症がその最たるものである。

たとえば、20世紀半ばまで、わが国の死亡原因は、ほとんどの年で結核が第1位となっていた。しかし、戦後、ストレプトマイシンなどの抗生物質が使われるようになって、瞬く間にその死亡者は激減していった。

その一方で、どれだけ医療が進歩しても、いまだ多くの人の命を奪っている病も多いことは言うまでもない。

最大の敵はがんである。今や日本人の2人に1人がかかると言われている。早期発見・早期治療で救えるがんが増えていることもまた事実であるが、依然として日本人の死亡原因の第1位を占めている。

人間は誰でもいずれ死ぬとわかっていても、助かる命であれば助かりたいと思うのは、われわれの切実な願いである。

藁にもすがりたいという思い、できることならありとあらゆる方法を試して、自分に合う方法を見つけたいという願いには、誰もが共感できるだろう。

また、深刻な副作用や医療過誤などを恐れて、現代医療への不信感を抱く人も多く、そうした背景から、代替医療に救いを求める心理もよく理解できる。

私はこれまで、何回かに分けて、健康食品やサプリメントの効果、似非カウンセリングの効果について、エビデンスや科学的リテラシーをキーワードに警鐘を鳴らしてきた。

その結論をかいつまんで述べると、ほとんどの健康食品やサプリにはプラセボ効果以上の効果はなく、軽視できない害もあるというものだった。似非カウンセリングについてはもちろん、一般的なカウンセリングにも「流派」によっては、効果がなく害があるものも少なくないことを紹介した。

それでは、代替医療についてはどうだろうか。