Photo by Gettyimages
政治政策 選挙

小池都知事の神通力は、「あの時点」でもう落ちていた

都議選のような旋風はもう起こるまい
このエントリーをはてなブックマークに追加

「しがらみからの脱却」とは言うけれど

人は「しがらみ」のなかで生きる。生まれた時から親兄弟、親類縁者とのしがらみが発生するわけで、年を取るごとにしがらみの数は増え、窮屈になるが、社会生活を送る以上、そこから抜け出ることはできない。

そのしがらみで、がんじがらめにされているのが政治家という職業だろう。アッチの顔を立てればコッチの顔が立たず、求められるのは調整能力だが、双方を満足させる解決法はなく、最後は政治家としての力量や愛嬌が急場を救う。

小池百合子東京都知事が代表になった希望の党は、「しがらみ政治からの脱却」を標榜している。 

 

政治がしがらみと不可分であることを考えれば言語矛盾だが、「しがらみ政治」を対立軸として打ち出せば、これほどわかりやすく改革をアピールする材料はないわけで、「天性の勝負師」という評も頷ける。

「しがらみ」という言葉はともかく、昨年8月から始動した小池都政は、都議会自民党を政官財の癒着構造を持つ敵にし、「黒い頭のネズミ」と呼んで戦ってきた。

防衛、外交、憲法といった視点が加わる国政に対し、都民の生活を守ることを第一義とするのが都政であり、「しがらみ排除」だけでは対立軸に成りにくい。

小池都知事の安保法制や改憲などの立場は安倍晋三首相と同じだけに、「小池が出馬して安倍VS小池の対立構図にしなければ希望の党に勝機はない」といわれるゆえんである。

ただ、小池氏がこれまでの都知事と違って、1年強を戦い続け、その姿勢を絶やすことなく都民や国民に見せつけ、それで民進党を取り込むに至るほどのパワーあふれる政治家であったのは確かである。

小池百合子Photo by Gettyimages

もちろん、「功」の部分もあるのだが…

では、小池都政の功罪はなにか。

「功」の部分でいえば、ネットなどを通じて情報公開を徹底、小池氏本人のパフォーマンス上手もあって、「都政の見える化」が進んでいることだ。

公開されて困るのは、政官業のトライアングルのなか、密室で物事を決めていた権力中枢の人間たちである。「ドン」と呼ばれる内田茂前自民党都連幹事長などひとにぎりの政治家が、都知事やその周辺、及び都の官僚を抑え、ゼネコンや設備などの業者の陳情を受け、うまく差配してきた。

小池氏のいうように、「ブラックボックス」のなかで決められてきたのであり、小池氏はその闇を豊洲と五輪に光を当てることで切り裂いた。汚染地の東京ガス跡地の豊洲に築地を移転させたのはなぜなのか、7340億円(立候補時)の五輪予算が2兆円にまで膨れ上がったのはなぜなのか。

築地移転と五輪招致を決めた石原慎太郎、その後継の猪瀬直樹、その次の舛添要一といった元知事らは、封印の側に回り、開示の必要性は感じなかった。都議会与党の自公と争わないのは黙契だったからである。

そこに、しがらみのない小池氏が切り込んだ。小池氏の政治団体には、「フォーラム・ユーリカ」と「自由民主党東京第10選挙区支部」(17年7月まで)の二つがあるが、大口献金やスポンサー的人物は見当たらない。

特定企業との噂、なかでも20年以上の政歴を持つ人には珍しく、ゼネコンを始めとする公共工事を担う企業との関係が出てこない。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク