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成年後見制度 介護・福祉 認知症

91歳おばあちゃんの「失踪・財産消滅事件」戦慄の真相

成年後見制度の深い闇 第8回

友人に何の前触れもなく消息を絶った、都内に住む91歳の女性。心配した友人に区役所は「おばあちゃんには成年後見人がつきました」とだけ説明した。女性が所有していた古い実家の建物は、いつの間にか解体され更地になっていた。

ようやく91歳の女性を探し出した友人らに、彼女は衝撃的な発言をした。「財産は、すべて役所にとられたのよ」――。

一連の出来事の背後には、超高齢化社会を迎えた日本の行政が、成年後見人制度を「活用」して「空きや問題」を解決しようとしているという、驚くべき事実があった。内閣府の諮問会議の議事録を紐解きながら、水面下で議論が進められている、「行政の都合優先」とも言える実態に迫る、連続ルポ。

(※シリーズのこれまでの記事は、こちらから

「空き家だから、取られたの」

これまでの経緯を簡単に振り返っておこう。

都内在住の91歳の女性は、友人に行方も告げず、突然、行方不明になった。区役所の説明では、彼女には弁護士が後見人としてついたという。そして東京・目黒区内にあった女性名義の実家建物は、跡形もなく取り壊されていた

これを不審に思い、懸命に91歳の女性を探したのは、彼女を「おばあちゃん」と呼んで親しく付き合ってきたご近所の友人・佐伯さん(60代、仮名)だった。

 

佐伯さんが、この件を、成年後見制度にまつわる相談を受け付けている、一般社団法人「後見の杜」に持ち込み、「後見の杜」が区議などに働きかけを始めた矢先、その動きに反応したかのように、91歳の女性から自分の居場所を知らせる連絡が入った。

佐伯さんが目黒区役所に問い合わせにいき、「91歳の女性に探していることを伝えてほしい」と頼んで自分の連絡先を託してから、実に半年以上が経っていた。

こうして、目黒区内のグループホームを訪れた佐伯さんは、8ヵ月ぶりにおばあちゃんと再会できた。そしておばあちゃんの口から、数々の驚愕の事実を知らされたのだ。

それにしてもなぜ、91歳の女性の実家は取り壊されてしまったのか。今回はこの点に注目してみたい。おばあちゃんは佐伯さんに、こう語っている。

「あそこ(つまり、取り壊された実家)も、取られちゃった。どうしてかというと、あそこに(自分は)住んでないでしょ。(だから)お家は役所に取られたの」

つまり、おばあちゃんの認識では、自分が実家建物に住んでおらず、「空き家になっていた」ために行政に取り上げられた、というのである。