企業・経営

日本の企業も無視できない「人権マーケット」その拡大傾向

シリーズ「人権と数字」➀
石井 麻梨 プロフィール
このエントリーをはてなブックマークに追加

「人権ビジネス」とはなにか

そもそも企業にとって「数字で見えないもの」を意識して事業活動を行うことは困難です。かつて「環境」はその典型的な例でした。例えば環境汚染により生じるコストがどの程度にのぼるのか、もしくは環境に配慮した製品がどの程度のビジネスチャンスとなるかがわからなければ、企業が注力するインセンティブは生じません。

今日、「環境」については様々なイシューが数字として把握されています。例えば「環境ビジネス」については各国において数十兆円の市場規模があることが示されています。日本の環境産業の国内外での売上をもとにした環境省の試算によると、2014年の環境ビジネスの市場規模は約105兆円程度とされます。

他方で、「人権ビジネス」については、その定義が明確でなく数字としてあまり把握されていない段階にあります。人権ビジネスにはどのようなものがあるでしょうか。

 

まず、「人権問題」そのものに関わるビジネスとして、人権侵害やそれに対する取り組み状況を調査・評価するための人権デューデリジェンスや人権関連認証サービスが挙げられます。人権に関する意識啓発をはかるための人権教育教材・研修サービスも人権ビジネスのひとつでしょう。

このほかにも、人権侵害がそもそも起きないような生産活動ができるようにするための製品、例えば全ての人にとって働きやすい環境を整備するためのバリアフリー設備や、人間にとって危険・有害な労働などを人間のかわりに行ってくれるロボットも人権ビジネスの一部です。

さらに、企業の従業員のメンタルヘルス上の課題などに対応するEAP(Employee Assistance Program)や、人権侵害が発生した場合の法的サービス、被害者のケアを行うカウンセリングなどの医療的サービスも挙げられます。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク