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「ちょっと自民党にお灸を…」そんな思いが大惨事を招くかもしれない

当選者たちは責任をとれるのか
楡 周平 プロフィール

小池氏は都知事になってまだ1年しか経っていない。就任直後にまず手をつけたことといえば、オリンピック・パラリンピックの会場施設の見直しだ。幾つかの施設をやり玉に挙げ、よその地方自治体を巻き込んで大変な騒動となったが、その結果は原案通り。その余波が冷めやらぬうちに今度は、豊洲の中央卸売市場だ。

築地市場の豊洲移転については、立地の選定から始まって、プロジェクトの進め方にも問題があったのは確かである。このことについてはいずれ頁を改めて書こうと思うが、豊洲の地下水の汚染をことさらクローズアップし、消費者の不安を煽り、完成後今に至るまで塩漬け状態。もはや、移転は不可能と思われる状況を招いた。

確かに、生鮮食品を扱う施設の地下水が、ベンゼンを始めとする有害物質に汚染されていると聞けばいい気持ちはしない。しかし、多くの専門家が指摘しているように、市場で用いられる水は地下水にあらず。我々都民が日頃当たり前に使っている上水道のものである。構造的に地下水が市場で扱われる生鮮食品と接触するわけではなく、安全が確保されている施設の何が問題なのか。

 

小池氏は、消費者の不安を掻き立てることで、前任者に瑕疵があり、自分はそれを正そうとしていると印象付けようとしているだけではないのか。しかも、今度は築地を再開発し、中央卸売市場を併設した食文化の発信地にとぶち上げた。

紆余曲折はあったにせよ、築地市場の豊洲への移転は、市場関係者も一旦は納得したはずである。だからこそ、昨年の11月の開場を目指して施設が建設され、移転準備も進んでいたのだ。それを一気にひっくり返した結果何が起きたか。市場関係者の対立である。

無責任政治家の系譜

この騒動の経緯を見るにつけ、私は鳩山由紀夫氏の名前を思い出す。

前沖縄県知事の仲井真弘多氏が普天間基地の辺野古移設を容認。移設計画が前進するやに思えたところで「最低でも県外」の首相発言だ。これをきっかけに容認派も反対に回り、沖縄県と国の対立は激化する一方となった。しかも、こともあろうに「やはり県外は無理」と言いだしたのが当の鳩山氏本人なのだから話にならない。

もし、今回の衆議院選に小池氏が出馬することになったらあまりにも無責任に過ぎる。政治評論家の中には「都知事は東京限定だが、総理は一国の政治を担う」と、まるで大事の前の小事といわんばかりのコメントをする人がいるが、本気で言っているのだろうか。都政一つまともにできない者が、国の政治の頂点に立って何ができるのだろう。豊洲に5000億円もの公金を使った施設を塩漬けにする事態を引き起こしておきながら、解決の道筋も立てないうちに自ら職を投げ出すことなど許されるものではないだろう。