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「ちょっと自民党にお灸を…」そんな思いが大惨事を招くかもしれない

当選者たちは責任をとれるのか
楡 周平 プロフィール

「安倍政権後」はどうするの?

さて、いったいどんな人間を候補に立てるのかと思いきや、民進党の現職議員を希望の党から出馬させると報じられた時には、さすがに耳を疑った。

しかも、希望の党から出馬するに際して、小池氏が突きつけたのが「憲法改正」「安全保障」の合意である。他に政策らしきものといえば2030年までに原発をゼロにするということぐらいのもの。あの時点では、政策の詳細は一切不明なら、憲法改正、安全保障については、民進党の中には断固として反対を唱えていた議員が大半だったはずである。

 

さすがにいくら何でもこれは呑めまいと思いきや、希望の党からの出馬の可能性が出た途端、民進党議員は雪崩を打って小池氏の元に馳せ参じた。しかも前原誠司代表の言葉がすごい。「どんな手段を使ってでも、安倍政権を終わらせる」とのたもうた。

安倍政権を終わらせるのはいい。ならば前原さん、終わらした後はどうすんの? まず有権者に提示すべきは、あなた方がこの国をどう導こうとするのか、確たる政策でありビジョンでしょう。

全くこの言葉には驚いたが、異を唱えるどころか、居並ぶ民進党議員は拍手喝采。

いったい安全保障法案を巡る、小学生の学級会でさえ見られない、あの大騒ぎぶりは何だったのか。採決の場ではプラカードを手に議長席に押しかけ、断固反対を叫び、こんな強権的なやり方は許さないと声を震わせたのはどこの誰だったのか。

「従来、野党が結集すべきと主張してきたので、希望の党との合流は100パーセント納得している」と、あの時、議長席に押しかけた玉木雄一郎氏が言えば、「私の弟は自衛官。自衛力は強化すべき。日米同盟は重要」と同様の行動を取った柚木道義氏も言う。

語るにおちるとはこのことだ。民進党議員の正体ここに見たりだ。

もはや、彼らに政治に対する理念は微塵も窺えない。ただひたすら、この小池旋風に乗りさえすれば、議員で居続けられる。国会議員の職にしがみつこうというあさましさ、醜さを見せつけられた思いに駆られるのは、私だけではないだろう。

冷静に考えてみてほしい

ところが不思議なことに、メディアの多くではこうした元民進党議員の姿勢を非難する論調はあまり見られない。その後、公認を拒否された枝野幸男氏が立憲民主党を旗揚げしてからは、多少の変化は見られるものの、あの時点では希望の党に期待を寄せこそすれ、懐疑的な目を向けるメディアもほとんどなかった。中には、小池氏の衆議院選挙への出馬、ひいては初の女性総理の誕生を待望するかのような論調すらあった。

だが、どこぞの新聞ではないが、それこそちょっと待ってほしいというやつだ。