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「ちょっと自民党にお灸を…」そんな思いが大惨事を招くかもしれない

当選者たちは責任をとれるのか

小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」が登場して、ガラリと変わった日本政界のパワーバランス。しかしこの熱狂と混乱のまま、総選挙に突入してしまってよいものか? この光景に大いなる違和感を抱いた作家・楡周平さんの緊急特別寄稿。

また素人が国会議員になる

政権の支持率回復、そして山尾志桜里衆議院議員の不倫スキャンダル発覚をきっかけに、安倍首相が捨て身で打って出た衆議院の解散・総選挙。マスコミはこれを「大義なき解散」と打ち、猛然と批判を繰り広げたのは記憶に新しい。

ところがである。小池百合子東京都知事が希望の党設立を公表した途端、大義なき解散などと口にする者は、ものの見事に消え失せた。

希望の党が善戦し、ひょっとすると政権与党に大化けする可能性が出てきたからである。

そこからの展開があまりにもひどい。

国政政党を立ち上げるからには、国会議員に相応しい資質を持った候補者を擁立するのは当然のことだが、衆議院が解散したのが9月28日。公示日は10月10日である。最初に浮かんだ疑問は、僅か2週間にも満たないうちに、果たしてどれほどの候補者を揃えられるのかということだった。

 

当初は小池氏が主催する「希望の塾」の中から候補者を擁立するという報道が目立ったが、責任ある仕事に就いている人間が、突然「立候補することになりましたので、退社いたします」などと言えるわけがないし、第一、当選すれば国会議員だが、落選すれば無職になるのだ。となれば、落選しても食うに困らぬ仕事に就いているか、さもなくばそれまでと何も変わらない、議員になれたらめっけものという程度の人材しか集まらないだろうと思ったのだ。

というのも、先に行われた都議選で一大旋風を巻き起こし大勝を収めた都民ファーストの会の面々に、真っ先に小池氏が出した通達が「取材には一切応ずるな」であったからだ。

他党から乗り換えた現職都議、区議とそれなりに政治の経験をお持ちの方もいれば、新人議員もまた、公表されているプロフィールや政策を見る限りにおいては、立派なことを書いていらっしゃる。

ならばなぜ、小池氏はそんな通達を出したのか。都政が抱えている問題は山ほどある。それらを解決し、東京をより良い街にしてくれることを信じて、有権者は彼ら、彼女らに票を投じたのだ。議員が何を考え、何をしようとしているのか。メディアの取材に応ずるのは、議員たる者の義務であるはずなのだが、なぜ口を封じたのか。

理由はひとつしか思いつかない。何か喋ろうものならたちまち馬脚を現すことを小池氏が知っているからだろう。