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週刊現代

社会の「生きづらさ」に向き合いながら生きるためのバイブル10選

フリーター・雨宮処凛の背中を押した本

「堂々と間違えろ」

唯一の楽しみが読書。そんな小学校時代を送りました。成人してからも趣味が読書しかなく、長年ずっと傍らに本があって、毎日読み続けてきました。もう食事と同じで、自分の大部分は本でできているような感覚です。

読んでから20年近く、私の中で最高の一冊であり続けているのが、『COTTON100%』です。

この本を読んだ'98年当時、私は表現者になりたいただのフリーターでした。何かを伝えたいけれどどうしていいかわからないと悩む、モラトリアムの真っ最中。

そんな時に背中を押してくれたのが、世界中を旅し、マルチなアーティスト活動を行うAKIRAさんのアメリカ放浪記でした。グダグダ悩んでいないで、とにかく考える前に行動しよう。そして、「堂々と間違えろ」という強烈なメッセージを受け取ったんです。

 

この本を読んで数ヵ月後、初めての海外旅行で訪れた先が北朝鮮です。読まなかったら、あんなに危険が満ちた場所に行かなかったと思いますね。

2位の『チャヴ 弱者を敵視する社会』を読んだのはごく最近なのですが、衝撃を受けました。今の世界、そして日本で起きている格差の進行を、こんなにわかりやすく読み解いている本はありません。貧困の問題などの「生きづらさ」は私のテーマでもあり、今後の自分にとって、バイブルになるだろうと感じました。

イギリスの白人労働者階級は「チャヴ」と呼ばれ、侮蔑されている現状があります。その差別が政治の文脈にも組み込まれて、下流バッシングが起きます。貧しいのは自己責任であるといわれ、社会保障費削減のために利用されているんです。

この問題の背景には30年前のサッチャー政権から推し進められた新自由主義政策があります。そこから、格差が拡大し、様々な産業が空洞化した結果、地方が衰退しているという流れが詳しく解説されています。でもこれは今の日本にもそのまま当てはまると気づくのです。

中曽根政権ぐらいから新自由主義路線が始まり、小泉政権が弱者に対して牙をむき、自己責任化、社会保障費削減、生活保護バッシングにつながるという構図は全く一緒です。日本でもイギリスのような強い下流差別が発生するのではと危惧しています。

3位に選んだのは『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』というストレートなタイトルの本。著名人がプレゼンを披露する人気イベント「TED」で、フェミニストである著者のスピーチをまとめたものです。

読んで驚いたのが、著者の出身地、ナイジェリアでも、女性が社会で生きる姿は、日本と同じということ。女性のキャリアアップを阻む「ガラスの天井」などジェンダーの問題に皆悩んでおり、その姿は万国共通であることが新鮮でした。

そして、それを訴える彼女のスピーチが世界中で共感を呼んでいるということにまた、すごく勇気をもらいます。

社会問題をどう伝えるか

女性つながりで言うと、4位の『女子をこじらせて』はまた違った視点の一冊。日本で生きる女性の息苦しさなどを、AVライターである筆者が自分の人生を振り返りながら、ぶっちゃけている内容です。いろんなものに対する折り合いの付け方が極端で、それなのに共感を得られる内容になっているんです。

最近、私も『女子と貧困』という本を書かせていただきましたが、ここ1、2年、世の中のジェンダーに対する意識が変わってきたなと感じます。数年前だったら「フェミニスト」という言葉を何かの媒体で使うだけで罵詈雑言が寄せられるなど攻撃がありましたが、今は以前よりは言いやすくなった気がします。