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選挙 週刊現代

「電撃解散」は財務省にとってまさに“瓢箪から駒”の事態

消費増税さえできれば何でもいい…

財務省の真の思惑

安倍首相が衆議院を解散し、10月22日に総選挙を行うと表明した。北朝鮮情勢に揺れるなかでの解散となるが、野党では小池百合子氏を中心に大きなうねりが生まれている。民進党が「希望の党」に事実上合流するというから、自民党も油断できないだろう。

選挙で勝つためには、安倍首相は財務省の動きをいっそう気に掛けなければいけない。なにしろ財務大臣は盟友の麻生太郎氏で、総選挙で勝つためには麻生氏の協力も必要だ。また森友学園のときのように、政権に打撃を与えるような妙な動きを財務省にしてもらいたくないという安倍政権の意向もあるだろう。

 

一方、財務省の思惑といえば、今回の解散総選挙をうまく使い、'19年10月の消費増税を確実に実行することだ。アベノミクス推進のために再増税はできるだけ避けたい安倍政権だが、「妥協策」を財務省とのあいだに見出した。

それは(1)'19年10月の10%への消費増税は予定通り行う、だが(2)財政再建のためではなく教育などに使う、というものだ。(1)で財務省の顔を立てて、(2)で安倍政権は国民への支出を増やすという実利を取った形だ。

これは両者「痛み分け」のように見えるが、財務省としては増税さえ達成できればなんでもいいのだ。財務省のいう財政再建はあくまで建て前で、増税によって省庁により多くの予算を配りたいというのが財務省の真の思惑である。

シナリオ通りに動いてくれた

ただ今回の衆院解散および総選挙は、財務省にとっては「瓢箪から駒」だった。というのも当初に財務省が予期していたスケジュールでは、今秋の国会で各党から憲法改正項目の提出・絞り込みがあり、'18年の通常国会で憲法改正の発議があり、国民投票と同時に衆院解散という手順だった。このスケジュールでは、財務省としては消費増税が吹っ飛ぶかもしれないと懸念していた。

そこで、財務省は憲法改正に否定的な公明党やメディアを使い、憲法改正のスケジュールを変えるように働きかけてきた。それが功を奏して、安倍首相も「憲法改正はスケジュールありきでない」と言わざるを得なかった。

さらにここにきて、北朝鮮の挑発行動がエスカレートしてきた。安倍首相はトランプ大統領とは世界のリーダーと比べても特に仲がいい。当然、安倍首相はトランプ大統領から今後のアメリカの北朝鮮に対する行動について情報を得ているはずだから、そこから解散総選挙を今のうちにやっておいたほうがいいと判断したのだろう。「北朝鮮解散」と呼ばれるのは安倍首相としても不本意なはずだが、やむを得ない。

財務省はこうした流れをうまくついて、消費増税を自民党の選挙公約に取り付けた。ここまでは財務省の完勝であるが、気がかりなのは来年の北朝鮮情勢がどうなるか……。

もちろん有事となれば大規模な補正予算が組まれることも含め、それこそ消費増税どころではなくなるはずだ。さすがの財務省も北朝鮮まではコントロールできない。

これから2年間、財務省は北朝鮮の動きが気になって仕方がないだろう。2年後、米朝間の軍事衝突がなく、日本が平和で、かつ「消費増税が必要なほど」の景気過熱が起こっていれば、すべての人が幸せなのだが。

『週刊現代』2017年10月14・21日号より