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「トンデモ説」に殺されないために全員が身につけるべき「武器」

医学のメリットを十分に享受するには

正しく、納得いく判断ができるか

ひとは誰も健康でありたい、長生きしたいと思う。しかし、病気を完全に避けて生きていくことなど不可能だ。いざ病気になった時、医師を訪れて説明をうける。いまやインフォームドコンセントの時代である。治療法についての選択を迫られる。

はたして、きちんと病気のことを理解して正しい判断ができるだろうか。

そんなたいそうなことではなくとも、日頃から、健康に関連してのテレビ番組や雑誌記事、本などはよく目にする。優れたものもたくさんあるが、残念ながらクビをかしげたくなるようなものも結構ある。

どう考えても効きそうにない高価なサプリメントを買う人や、がんもどき理論のような「トンデモ説」を受け入れてしまう人がおられるのは、気の毒なことだ。

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医学部で病理学――病気の原因や発生機序――について教えている。大学を卒業して40年近くになるが、その間の医学の進歩には本当には目を見張るものがあった。多くの疾患について、その発症メカニズムが分子レベルでわかるようになり、それに基づいて様々な治療法が開発されてきた。

まことにもって喜ばしいことだ。反面、そのぶん複雑になり、一般の人にはわかりにくくなってきているのも事実である。

医業を営んでいるわけではないペーパードクターなのだが、病気について相談を受けることがよくある。そんなとき、どうしてこんなに基本的な知識がないのだろう、どこから説明したらわかってもらえるのだろう、と思うことが多い。

しかし、考えてみればあたりまえかもしれない。世の中の大多数の人たちは、医学についての教育など受けていないのだ。生物学の知識にしたって、せいぜい高校で学んだレベルまで。それも、病気に関連したような内容などはほとんどない。

 

いざという時に、いかに正しく、納得いくように判断できるようになるか、そして、あやしげな健康情報に惑わされないためにはどうするか。

それには、結局のところ、正しく医学知識を理解し、それに基づいて判断する、医学リテラシーとでもいうべきものを身につけておくしかないのである。

言うのはたやすいが、実際にどうすればいいのか。医学系の大学や専門学校へ行けばいいのは間違いないが、そんな時間のある人はほとんどいないだろう。となると書籍で学ぶしかない。では、それに適した本があるかというと、あまり見当たらない。