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近現代史 哲学・思想

明治政府が「天皇を利用した」物語は、今も私たちを縛っている

あなたを駆動する「物語」について②

『東京プリズン』の作家・赤坂真理さんが、文学者として日本の近現代史を読み直し、いまを生きる私たちの「盲点」を鋭くつく連載第2回!

〔→第1回「民主"主義"という訳語が生んでしまった、日本人の決定的な勘違い」はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52922

私たちの無意識の「クセ」

democracy(民主制)という言葉は “democrat”から派生している。

democrat は人である。

democrat という人たちが、集まった状態。それが democracy だと、とりあえず定義する。

democrat を日本語訳するのはさらにむずかしい。とりあえず、「民主制を構成している人」とでも言おうか。

「民主党員」ではない。それはアメリカ限りの用語で狭すぎる。「民主主義者」もちがう。主義を持ち出すのは一足飛びすぎる。

それ以前にこの、「すぐ漢語熟語にして用語化しようとするクセ」でわたしたちはかなり多くのものを日常的に失っていると、気づいたほうがいい。

ついでなのでたとえを出すが、「少子化」だって、そうで、漢字熟語にして用語化すると、「なぜか」鰻の数が減る謎の現象と変わらない。「鰻少子化」なら、そう言ってもよい。鰻の子は、「なぜか」減っている。日本人の子は、「なぜか」減っているのだろうか?

「なぜか」な問題に、打てる手は少ない。問題は何かと、人の男と女に、きいてみなければわからない。

制度や行政ばかりの問題ではない。女性ばかりの問題でもない。問題は、いつだって生態系みたいなものなのだ。彼らの心と身体を動かしたり縛ったりしているものがなんなのか、読み解かなければわからない。

そこで納得がいけば、よしんば人や子どもの数が減ろうと、さして問題ではないはずだ。問題であったとしても、具体的に有効な手が打てるだろう。それに、問題がなくなることは、生きている限り、ない。

 

自由「民権」運動

democracy に戻って英語を点検してみよう。

-cyで名詞になる英語は、privacy, captaincy, presidency など。

-cyという接尾語をつけることで、状態、立場、役職などの名詞になる。

crat+cy= -cracy となると、比較的多く見つけることができ、似た感触の言葉が集まる。democracy, aristocracy, technocracy……どれも支配や管理に関係する。

この、-cy の意外な本質は、あとでわかる。

そこからデモクラシーの意外な本質もあらわになってきてスリリングなのだ。が、とりあえず今は、-cy という接尾語を心に止めておいてほしい。