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メルケル首相4選確定、それでも新内閣は今年中に決まらない?

連立相手をめぐって内輪揉めも…

CDUとSPDが大敗北

9月24日に行われたドイツ連邦議会の選挙結果は次の通り(SPIEGEL ONLINE より)。

投票率は76.2%。総議席数は709。上のグラフの右端の数字は前回の選挙と比較しての増減。下の帯は各党が獲得した議席数の内訳。

※Unionというのは、CDU(キリスト教民主同盟)とCSU(キリスト教社会同盟)を合わせた名称。
※CDUとCSUは姉妹党で、バイエルン州にはCSUだけがあり、CDUがない。たいていの場合、両党が連立してドイツ全体をカバーしている。

・最大与党CDU/CSUの得票率は、戦後2番目に悪い結果となった。メルケル氏が党首として率いた総選挙でいえば最低の数字。それでも、最大与党なので、第4期メルケル政権が成立する予定(それにより、メルケル首相の任期はコール首相16年の記録と並ぶことになる)。

・そのCDU/CSUと大連立を組んでいたSPD(社民党)は、かつてはヴィリー・ブラントやヘルムート・シュミットを輩出した栄えある国民政党だったが、最近はどんどん弱体化。今回の得票率20.5%は、戦後最低記録となった。敗北したシュルツ党首は、投票が終わった直後に、大連立の解消を宣言。

・AfD(ドイツのための選択肢)は2013年にできた右派の新党で、今回、一気に第三の勢力として躍り出た。本来の保守であったCDUが左傾化したため、ドイツの政治スペクトルの右端に隙間ができて、AfDの立ち位置となった。結党以来4年間、ほかのすべての政党とメディアがスクラムを組んで、AfDを極右、反民主主義、差別主義、国粋主義、はてはナチなどと激しく攻撃し続けているが、存在感は日増しに伸張。

・FDP(自民党)は前回の選挙で大きく敗北し、議席を失っていたが、今回、復活。ドイツ・リベラルの代表と自負。小さいながらも、過去にCDUやSPDの連立政党として政権の座に座ったプライドがある。

・左派党は、旧東ドイツの独裁党SEDの流れを引く。東独地域の労働者層に支持者が多い。東西ドイツ統一後に結党して以来、永遠の野党で、すべてのことに精力的に反対し、ある意味、議会を活性化しているとも言える。

・緑の党は、環境保護と人権擁護を唱える左翼政党で、支持層にはインテリも多い。しかし、リベラルの行き過ぎと非現実的な主張が目立ち、ここ数年は理想の海の中で遊泳中。

 

選挙結果を簡単にまとめれば、これまで大連立を組んで政権を担当していたCDUとSPDが、(未だに第1、2党であるとはいえ)実質的には大敗北を喫したことになる。中でも、一番急激に票を減らしたのがメルケル首相のCDUだ。

「難民ようこそ政策」から丸2年。ヨーロッパでは難民が溢れ返り、テロが頻発し、ドイツでも治安が悪化した。しかし、ドイツ政府もメディアも、難民による犯罪が増えていることさえ認めない。CDUの急激な票離れは、それに対する国民の抗議であったと思われる。