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芸能 文化

海老蔵世代が続々挑む歌舞伎の「新作」〜爆発するエネルギーのゆくえ

2017年後半、歌舞伎の現在地

歌舞伎座で新作続々!

歌舞伎座は7月から10月まで、毎月新作・準新作の上演が続いている。

歌舞伎座以外の劇場での歌舞伎公演での新作は珍しくはないが、「歌舞伎座での新作」が続くのは珍しい。

これらの新作を担っているのは30代、40代の役者たち――、海老蔵、染五郎、菊之助、猿之助たちだ。

 

まず7月は、市川海老蔵が息子・勸玄君と宙乗りをしたので話題になった『駄右衛門花御所異聞』だった。

8月は市川染五郎と市川猿之助主演の『歌舞伎座捕物帖』と、野田秀樹作・演出の『野田版桜の森の満開の下』。

9月は中村吉右衛門が松貫四名義で書いて1985年初演の『再桜偶清水』が、市川染五郎主演で上演された。これは初演ではないので、準新作ではあるが、東京では初めての上演だったので、初めて見た人がほとんどだったろう。

そして10月には尾上菊之助主演でインド神話を原作とする『マハーバーラタ戦記』が予定されている(http://www.kabuki-bito.jp/mahabharata/)。

今年は、歌舞伎座以外でも、六本木歌舞伎で海老蔵と寺島しのぶの『座頭市』(リリー・フランキー作、三池崇史演出)、赤坂歌舞伎で中村勘九郎・七之助の『夢幻恋双紙』(蓬莱竜太作・演出)があり、10月・11月は新橋演舞場で市川猿之助の『ワンピース』の再演が予定されている(http://www.onepiece-kabuki.com/)。

これらは、「新しく書かれた台本をもとにして上演される」という点でしか共通点はない。

まったくのオリジナルもあれば、古典を原作として書き換えたものもあるし、インド神話が原作だったりする。

歌舞伎の世界の内部の作家が書いたものもあれば、外の世界の演劇人が書いたものもある。当然、内部の作家が書いたものは、「歌舞伎らしい」。

7月の海老蔵の『駄右衛門花御所異聞』と9月の染五郎が主演の『再桜偶清水』が、内部の作家が、歌舞伎の古典を原作に、全面的に新しく書き換えたものにあたる。

ストーリーや登場人物も毎度おなじみのものだし、歌舞伎の様式に則っているし、舞台装置も、音楽も、義太夫が入るところも、昔ながらという感じだ。

詳しくない人が、事前に知識を持たずに見たら、昔からの歌舞伎そのものだと思っただろう。それくらい、「普通の歌舞伎」だった。そして、面白かった。