政局

小池百合子と小泉純一郎「極秘会談」の全舞台裏

【緊急寄稿】元総理の選挙協力はあるか

加速する「小池新党」。注目を集めるのが、小泉純一郎元総理と小池百合子都知事との連携の可能性だ。9月25日に行われたふたりの「極秘会談」はなぜ実現し、なにが話し合われたのか――。その経緯と両者の思惑を、3年にわたり小泉氏に取材を続けてきたノンフィクションライター・常井健一氏が、その背景を解き明かす。

小池百合子の「賭け」

9月の三連休の中日、小池新党は一足先に惨敗を喫した。東京ではない。大阪は摂津市の話である。

17日投開票の摂津市議選。小池百合子とは縁もゆかりもなさそうな大阪のベッドタウンで「市民ファーストの会」なる旗を掲げて戦った新人候補が4人いた。若狭勝も東京から応援に駆け付けたが、目を覆いたくなるような結果に終わった。全員落選。しかも4人中3人が100票にも届かなかった。

その直後、小池は動いた。

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連休明けの19日、小泉純一郎は一枚のファクスを受け取った。「小池と都庁で会わないか」という主旨が書かれていた。

小泉が顧問を務める市民団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(通称・原自連)」は、かねてから東京都がすべての電源を自然エネルギーから賄う方針を打ち出すよう都知事の小池に提言しようと模索していた。

しかし、小泉は事務局任せでノータッチ。原自連の主要メンバーも、まずは都議会あたりからじっくり説得に回り、本丸を目指す作戦を練っていた。

ところが、いきなり「総大将」が登場することになった。小池は原自連の陳情に自らが応じることを決断したのだ。

 

自民党本部に職員として長く勤め、日本維新の会の事務局を担った人物が、小池と小泉をつなぐ仲介役となった。小泉や武部勤からの覚えもめでたく、「小泉チルドレン」として一度だけ議員バッジをつけたこともある男だ。

小泉本人のお出ましとなるか──。小池サイドは、ひとつの賭けに出た。

「このような時期だから小泉先生は当然断るだろう」

小泉に意思を確認するためにファックスを送った原自連の関係者はそう忖度したが、当の小泉は違った。

「小池さんが出てくるのか……。それなら、オレも行くよ」

小泉はあっさり応じた。

摂津で惨敗した直後である。小池新党に集まろうとするメンバーを見て、永田町では「ポンコツ新党」と揶揄する声は瞬く間に広まった。不穏な空気を察知した小池には、小泉の威光を借りたいという気持ちもあったのだろう。

こうして元総理と都知事の会談が行われることは20日までに決まった。それからふたりの空いている日程をすり合わせた結果、セットされた日時は〈9月25日午後3時30分〉。場所は、東京都庁となった。

解散を決断した総理の安倍晋三が、国民に「大義」を提示する記者会見をその日に開くということは、すでに大々的に報道されていた。総理が一世一代の晴れ舞台に臨む直前に、小池は「ニュースの主役」を奪うような野心むき出しの打ち上げ花火を仕掛けたのだ。百戦錬磨の小泉が小池サイドからほのかに漂ってくる「特別な意図」を察しないわけがない。

事実、小池サイドは妙に力が入っていた。

原自連のメンバーは当初、会談の日に都庁の2階に集合し、みんなそろって知事室がある7階の応接室を訪ねる予定だった。ところが、小泉の参加が決まってからというもの、小池サイドは小泉の車を地下駐車場のある地点に来るように指定し、そこで小池の秘書が出迎え、「秘密のエレベーター」で知事室まで案内するという段取りをこと細かに伝えてきた。

小泉の側近たちも、その時点で「なにかあるな」と察した。