政治政策

文科省が新たな権益確保のために出した突然の「お知らせ」

「もりかけ解散」のさなかに

「もりかけ解散」の裏で…

安倍晋三首相が、28日、衆議院を解散。首相は「国難突破解散」と名付けたが、国会で森友学園、加計学園との関係を野党から激しく追及され、支持率を急落させていただけに、「もりかけ解散」と囃す向きもある。

森友学園の国有地安値払い下げや加計学園獣医学部新設に、安倍首相の指示があったと証明されたわけではないが、首相官邸、財務省、内閣府などの官僚たちが、首相夫妻の気持ちを「忖度」したのは間違いない。

その「忖度」を証明したのは、内閣府との争いに負け、不満をつのらせていた文部科学省だった。内閣府幹部が文科省幹部に、「総理の御意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと語ったとする内部文書が出回り、前川喜平前事務次官が、「その文書は文科省内のもの」と、認めたうえで官邸などからの圧力を語り、「行政は歪められた」と、言明した。

 

従って、「もりかけ解散」を誘引したのは文科省である。「政権の歪み」と「安倍1強の驕り」を知らしめたという意味で、「官僚の則」を超え、国会やマスコミで証言し続けた前川氏は評価された。ただ、文科省が「告示」によって岩盤規制を堅持する抵抗勢力だという事実は忘れてはならない。

獣医学部と医学部の新設を認めなかったのは、法律でもなければ規制でもなく、「告示」という名の国民への「お知らせ」である。文科省は、獣医師の集まりで、票とカネを持つ圧力団体の日本獣医師会に配慮、50年以上、新設を認めなかった。同様に、大学医学部の新設は、日本医師会の意向を入れて、40年近く凍結した。

根拠は、いずれも「大学等の設置の際の入学定員の取り扱いに係る基準」という名の「告示」であり、そこでは獣医師・医師などの養成に係る大学等の新設は認められない、となっていた。安倍政権はその規制を、国家戦略特区を使って突破しようとした。

アベノミクスは、金融政策、財政政策、成長戦略の三つを柱にスタートし、金融、財政の両政策はうまく機能、株価は順調に上がっていったが、成長戦略は描けず、「見るべき成果がない」と、批判が強かった。ただ、そのなかでも唯一といっていい岩盤規制を崩した実例が、医学部と獣医学部の新設だった。

またもや権益確保

文科省は、加計問題の前に禁じられている組織ぐるみの天下り斡旋が発覚、大量の処分者を出している。そういう意味では、文科省は権益保持に躍起となる役所であり、その姿勢は一貫しているわけだが、衆院解散の翌29日、またもや新たな「告示」を出し、大学の自由度を奪って、権益確保を図ろうとしている。

「東京23区内の私立大学・短大の定員増を認めない」という「告示」である。この「告示」への反発は、強く大きい。

ただ、定員抑制方針に唐突感を抱く向きはあるものの、実は国会が加計問題で炎上していた今年6月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本計画方針2017」の一環である。

若者の東京一極集中の是正が狙いで、18年度は定員増、19年度は大学の設置も禁止される。16年度の東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の学生数は、全国の40・8%を占め、そのうち東京23区だけで18・3%に上る。23区内の割合は15年前に比べ2・4㌽増えており、国としては、その増加傾向に歯止めをかけたい。