新しい働き方の一つとして、大きな注目を集めている「テレワーク」。メールや音声通話だけでなく、PCを通じたビデオチャットによる会議など、急速に普及してきた通信技術を使って、社員は会社の自席に縛り付けられることなく、自宅や外出先で仕事ができる――。

満員電車で通勤する必要もなく、子育てや介護と仕事との両立もしやすくなる、大きなメリットを持つテレワーク。だが、日本企業のテレワーク導入率は16.2%(総務省「平成27年通信利用動向調査」)。さらに働く人に「テレワークを実施してみたいか」とアンケートを取ると、米国では63.3%が「実施してみたい」と答えたのに対して、日本では69.9%が「実施してみたいと思わない」と答えている(総務省・平成28年「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」)。

どうやら、私たち日本人は、「テレワークなんて、何となくいやだ」と感じているらしいのだ。生産性向上の大きな味方であるテレワークに、なぜ心理的な抵抗を感じてしまうのか。乗り越える方法はないのか。臨床心理士の矢幡洋氏に聞いた。

なかなか席を立とうとしない人たち

あなたにもこんな経験がないだろうか。

喫茶店で、同僚と今後の会社の方向性について話し合っていたが、だいたい話は終った。さあ、切り上げて仕事に戻るか……。ところが、相手を見ると、まだ話を続けたがっているらしい――。

そのとき、相手の顔に、こちらの機嫌をうかがうような気弱げな笑顔が浮んでいたら、その相手は「依存性性格者」ではないかと疑っていいだろう。

あなたが腕時計をチラリと見て、「そろそろ切り上げましょう」というサインを出しても、相手がまだ話を続け、しかもその内容が、もはや仕事のことではなく、社内の恋愛ゴシップのようなヨモヤマ話になっていくとしたら、もうほぼ間違いない。相手は、依存性性格者だ。

彼らは、他人と一緒にいたいのだ。

photo by iStock