企業・経営

いま一番稼げるのは「データ・サイエンティスト」かもしれない

新卒でも「破格の待遇」
伊藤 公一朗 プロフィール

日本にできること

日本ができることの2点目は、「分析を前提とした」データ作りと公開の方法を取り入れていくことである。日本に存在する各種のデータを見ると、諸外国に比べても負けない質のデータを真面目に収集してきた、という印象は間違っていないはずだ。

しかし、政府・民間にかかわらず「ビッグデータの活用」が進まない要因の一つは、データの収集や公開が「データ分析を行うことを目的として」実施されてこなかったという点である。

例えば政府が収集する政府統計の中には、「収集すること」が主目的で、「分析として利用してもらうこと」が前提とされていない統計が多く存在する。

質問票の内容が年次ごとに頻繁に変わっていたり、分析で鍵となる質問が抜けていたり、収集後数年でデータが破棄される仕組みになっていたりなどの事例である。米国で政府統計が作られる際は、統計学の専門家が関わり、統計利用を前提としたデータ収集方法が議論される。

 

また、データの公開という点についても、日本にできることは沢山ある。例えば、米国の国勢調査のデータは個人を特定できない600〜1000世帯ほどの世帯平均情報であれば、誰でも気軽にウェブサイトからダウンロードできる仕組みになっている。

また、個人を特定できないようにした上での世帯レベルの情報についても、厳重な審査を通った分析者にはセキュリティの厳しい環境下で分析を許す仕組みも作られている。

以上述べてきた、「データ・サイエンティストの養成」と「分析を前提としたデータ作り・データ公開」という点は、2点がセットで変わらないと意味がない。

どちらの点についても、徐々にではあるが、大学や政府機関を中心にした改革が始まりつつある。霞が関で動き始めた「エビデンスに基づく政策形成」といった取り組みがその例である。

こういった改革が、一時の流行りではなく、日本の将来を見据えた長期的な取り組みとして継続されていくことが非常に重要ではないだろうか。