Photo by gettyimages
社会保障・雇用・労働 中国

中国で生まれた新たな職業「シェアサイクルの回収人」その実態

メンテナンス兄貴の肉体労働物語

世界よ、これが中国だ

現代の中国において、スマホと連動したシェアサイクル提供サービスがすっかり市民権を得たことはよく知られている。シェアサイクルは各地で1600万台以上が投入されたとされ、利用者は道ばたのどこにでもある自転車をスマホで解錠し、目的地に着いたら放置する。

私も実際に使ったことがあるが、地下鉄が多いのに乗り換えが不便な北京の街で、シェアサイクルはかなり使い勝手がいい。利用者の都合だけで言うならば、乗り換えが不便な駅と駅の移動、駅から自宅やオフィスへの移動などで、これほど便利なサービスはないとも言える。

北京市内、団結湖駅付近。この写真で自転車に乗っている人の全員がシェアサイクル利用者である。オレンジの車体がモバイク、黄色い車体がofoだ。筆者撮影。

ただ、日本よりも都市のルールがユルい中国とはいえ、やはり大量の放置自転車問題は顕在化している。最近、上海では放置自転車の集積場にシェアサイクル3万台が積み上がっていると日本で報じられたことがあるが、同様の状況は中国各地で見られる。北京や上海など主要都市では新規台数投入を制限する動きも出ている。

 

運営企業側も何もしていないわけではない。各社ごとに詳細の違いはあるが、多くはマンパワーの国・中国のやたらに多い労働力を活かして、街中に放置された自社のシェアサイクルを人力で回収させて所定の場所に並べ直すという対策を取っている。

なかでも全世界に800万台(事実上ほとんどは中国)を展開して1日あたりの利用回数が2500万回をこえるという最大手のofo社は、車体がGPS非搭載であることもあって、乗り捨て車の回収をもっぱら人力に頼っている。

北京市内で、巨大オート三輪のようなofo社の回収車にシェアサイクルを積み上げるメンテナンス兄貴。ストイックに作業に没頭する。筆者撮影。

今回の記事では、スマホアプリを駆使する21世紀型イノベイションの陰で泥臭い肉体労働に従事する、中国の働くおっさんや兄ちゃんたちの現状と背景をご紹介しよう。なお、彼らシェアサイクル回収員は、中国語では「運維小哥」(メンテナンス兄貴)などと呼ばれている。