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トランプ支持者は皆「日本がどうなろうと北朝鮮を叩くべき」と考える

アジアの地理はよく知らないけど

「日本人には申し訳ないが…」

筆者は9月中旬、米国中西部ミネソタ州セントポールでトランプ支持者に、さらに南部バージニア州アナンデールで米下院外交委員会所属のジェリー・コノリー議員(民主党・バージニア州第11選挙区)に対して、北朝鮮問題を中心とする現地ヒアリング調査を実施しました。

同調査では冒頭、すべての対象者にNHK、FNN及びNPR(米公共ラジオ)・PBS(米公共テレビ)・マリスト大学世論調査研究所が行った北朝鮮問題に関する日米双方の世論調査結果を説明し、質問に回答してもらいました。本稿では、彼らの「生の声」を紹介するとともに、ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮に対して今後どのように出るのかを探ってみます。

まず紹介したいのは、トランプ大統領を熱烈に支持している白人女性のA氏(59)です。彼女はFOXニュースに出演する保守系コメンテーターの広報担当を務めています。

A氏は「私にとって北朝鮮問題は差し迫った危機ではありませんが、強い懸念を持っています」と語った後で、「(問題解決には)外交交渉が望ましいのですが」と前置きをし、次のように述べました。

「金正恩は気が狂った人間です。クリントン、ブッシュ、オバマは北朝鮮と外交交渉をしてきましたが、成果を出すことができませんでした。正気と思えない人間と交渉をしても無駄です。彼とはいい取引ができません。戦争のみが解決策です。私は(米国)本土優先に賛成します」

こう語ると、A氏は筆者の目を直視して「あなたがた同盟国の国民には申し訳ないが」という表情を浮かべました。

NPRとグローバル市場調査会社「イプソス」が行った米国の共同世論調査(2017年9月11-12日実施)では、74%が「米国は東アジアの同盟国を防衛する義務がある」と回答しています。しかしA氏は同盟国の防衛より、たとえ日本・韓国及び周辺地域に甚大な被害が出たとしても、米国本土を最優先にすべきという「本土優先論」を強く支持していました。

「ヘイリー国連大使はよくやっています。しかし、ティラーソン国務長官は北朝鮮に対してもっと攻撃的な発言をする必要があります。彼はエクソン・モービルのCEO(最高経営責任者)でした。中東諸国とは交渉によって、よいビジネスの取引ができます。しかし、北朝鮮問題は企業の問題ではありません。安全保障問題なのです」

A氏はレックス・ティラーソン国務長官に対し、彼が北朝鮮に対して強硬な姿勢をとらない点、また優れた経営者であっても安全保障問題の経験には欠ける点の2つに、強い不満を漏らしていました。米ワシントン・ポスト紙は、「ティラーソン国務長官は北朝鮮問題に関してトランプ大統領との間に温度差があり、辞任する可能性もある」と報じています。

ティラーソン国務長官(左)とヘイリー国連大使(Photo by gettyimages)

そうなれば、ニッキー・ヘイリー国連大使が次期国務長官の座を狙うのではないか、という憶測が飛び交っています。さらには、ヘイリー国連大使は2024年米大統領選挙も視野に入れているという見方さえあります。仮にそうであるならば、ヘイリー大使は自身の「キャリアアップ」を目的として北朝鮮に対してタカ派の立場をとり、最高のパフォーマンスを上げようとしている、と見ることができます。