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突然失踪、財産も消滅…91歳女性が語る「お家は役所にとられたの」

成年後見制度の深い闇

友人に何の前触れもなく消息を絶った、都内に住む91歳の女性。心配した友人が区役所に行ってみると、回答は「おばあちゃんには成年後見人がつきました」だけ。さらに消息不明の女性が所有していた古い実家の建物は、いつの間にか解体され更地になっていた。不審に思った友人らが区議会議員などにはたらきかけを始めた矢先、突然、91歳の女性から連絡が。

だが、ようやく会えた友人らに女性は衝撃的な発言をした。「財産は、すべて政府にとられたのよ」――。いったい、何があったのか。その裏には、超高齢化社会を迎えた日本の行政が打ち出している、ある「大方針」の影響が透けて見える。驚愕の実態を追う連続ルポ。

第1回はこちらから

この人になぜ「後見人が必要」なのか?

半年以上、行方が知れなかった91歳の女性は、東京・目黒区内のグループホームに入所していた。女性の成年後見人には、弁護士がついていた。いわゆる「専門職後見人」だ。

「おばあちゃん」の行方を探してきた友人の佐伯和子さん(60代・仮名)を、おばあちゃんは満面の笑みで迎えた。だが施設に許された面会時間は、ほんの十数分程度だった。

私はこの面会時の録音を聞かせてもらったが、91歳の女性の発言は終始しっかりしていた。これほどしゃっきりした人に後見人がつけられていること自体に、強い違和感を持つほどだった。そのときのやりとりを、一部、ここで再現してみよう。

 

登場人物は4人。91歳の「おばあちゃん」。友人の佐伯さん。佐伯さんから相談を受け、同行した一般社団法人「後見の杜」事務局長。そして、施設の職員だ。

佐伯さん「Mさーん(注・おばあちゃんの名前)! さっぱりしてる」
おばあちゃん「私もね、何年振りや?」
佐伯さん「何年振りじゃないけどね(笑)。少し会っているけど」
おばあちゃん「会ってる。あそこのお家(住んでいたアパート)でね。そぉよー。ちょっと私ここに座っていい?」
佐伯さん「(注・職員に向かって)ずっと(おばあちゃんを)探していたもので。ずっと会いたかったので」
おばあちゃん「(外に)出れなかったの。私、今年フリーになって(自由になった、の意味か)。財産なんかも狙われたり、いろんなことが起きたものだから(自由を)抑えられちゃったの。政府の方から」
佐伯さん「(政府が)Mさんを?」
おばあちゃん「私が抑えられちゃって。結局、どこに行っても自由にならなかったのよ。(自由になったのは)いま、ここ最近よ」

ここで女性は「財産を何者かに狙われたりした結果、自由がなくなった」と話しているわけだが、その後明らかになった経緯は後述したい。