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金融・投資・マーケット

いま、プロの資産運用の世界で起こっている「異変」から学ぶべきこと

投資初心者にこそお伝えしたい

プロの世界で異変が起こっている

このところ、プロの資産運用の世界ではちょっとした異変が起こっている。多くの上場企業において、日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的な投資家が筆頭株主として名前を連ねる一方、企業年金基金の多くがポートフォリオにおける日本株の比率を急速に引き下げている。

一連の変化は、経営環境や投資環境のグローバル化が想像以上に進んだことで、日本株に投資をするという選択肢が大幅に狭まったことが背景となっている。

政治的には、内向き志向や反グローバリズムが高まっていると言われるが、マネーの世界はむしろ逆でグローバルな傾向が一層強まっている。

前回(マネーシフト第2回)は、人生100年時代を見据えた場合、外国株への投資が重要になるという話をしたが、今回はこの話をさらに深掘りしてみたい。

多くの人が、外国株は熟練した個人投資家が取り組むべきものと思っているが、筆者はそうは思わない。意外かもしれないが、投資の初心者であればなおさらのこと、積極的に外国株への投資を検討すべきと考える。

堅実な資産運用を長期にわたって継続するためには、安心・確実な銘柄に投資をすることが重要となるが、その条件に合致する日本企業は多くない。むしろグローバルに見た場合、日本企業の多くはハイリスク・ハイリターン銘柄の部類に入ってしまい、熟練者でなければ取り組みにくいというのが現実なのだ。

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筆頭株主が公的機関という異常事態

現在、多くの上場企業において日銀やGPIFが大株主になっていることは先にも述べた。例えばGPIFは2017年3月末時点においてトヨタ自動車の株式を約1億9500万株保有しているが、これはトヨタの発行済株式数の約5.9%にあたる。

トヨタの筆頭株主は日本トラスティ・サービス信託銀行となっており持ち株比率は11.28%、第2位はトヨタグループの豊田自動織機で、持ち株比率は6.93%である。第3位は日本マスタートラスト信託銀行で4.73%となっている。

GPIFは信託銀行経由で投資をするので、株主名簿にGPIFの名前が出ることはないが、筆頭株主である日本トラスティ・サービス信託銀行はGPIFの株式資産を管理している会社であることを考えると、同行の持ち分にはGPIFの持ち分が含まれている可能性が高い。

自然に考えれば、GPIFはトヨタにおける第2位の大株主ということになる。トヨタ自動織機はグループ会社なので、実質的にGPIFは筆頭株主といってよいだろう。

 

これは他の企業でも同じであり、日銀もしくはGPIFが筆頭、あるいは第2位の株主になっているところが多い。このような状態になってしまった最大の理由は、公的機関が市場規模の適正値を超えて日本株を買い続けたからである。

日銀が日本株を購入した理由は、量的緩和策の一環である。市場にインフレ期待を持たせるため、日銀は国債の大量購入と同時に日本株のETFも買い進めてきた。一方、GPIFは安倍政権の意向による運用方針の転換によって、年金の資金をリスクマネーに投じるようになった(このあたりについては第2回でも解説した)。

こうした公的機関が株価対策として株式を購入することについての是非はここでは議論しないが、多くの日本企業において公的機関が筆頭株主になったという事実は、日本の株式市場には巨額マネーをスムーズに吸収する余力がもはやなくなっていることを示している。