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解散総選挙中の「米朝開戦」は、十分あり得るといえる理由

本当に、平時の選挙などやってる場合か

年内に、5割以上の確率で…

ついにトランプ大統領が、ルビコン河を渡ってしまった。9月19日の国連総会演説によって、北朝鮮の対米開戦意識に点火してしまったからだ。このまま行けば、おそらく今年の年末には、5割以上の確率で、米朝開戦となるだろう。いよいよ1962年のキューバ危機のような状況になってきた。

それにもかかわらず、安倍晋三首相は25日、記者会見を開いて、衆議院の解散と、10月22日投開票の総選挙を発表した。

 

その晩、いくつかの中国メディアの知人から、電話が入った。選挙のたびにコメントを求められたりするので、その類いかと思ったら、そうではない。彼らの話はこうだ。

「安倍首相は、21日にもトランプ大統領と首脳会談を行っていて、トランプ大統領と蜜月関係を築いている。その安倍首相が、1ヵ月もかけて総選挙を行うのだから、アメリカによる早期の北朝鮮空爆はないと考えてよいのか?」

私は、「そんなこと安倍首相に聞いたらどうだ」と内心思いつつも、「日本の総選挙と関係なく、年内の米朝開戦は十分起こりえるのではないか」と答えた。

実際、そう思う。安倍首相は、平時の選挙などやっている場合なのか? そんなヒマがあれば、1億2000万国民の生命と安全を守る手段を講じるべきではないのか? 飛行機の部品が落下したくらいで大騒ぎする国なのに、ミサイルへの備えはどうするのか? 在日米軍基地周辺の住民は大丈夫なのか? 在韓邦人3万8000人はどうやって帰国させるのか? 日本海に船で押し寄せる北朝鮮の難民群にどう対処するつもりなのか?

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北朝鮮有事への早期対応の代わりに総選挙というこの一点をとってみても、安倍政権の国民に対する無責任さを感じざるを得ない。600億円以上のカネと1ヵ月もの月日をかけて総選挙をやる余裕があるなら、韓国を見習って防空壕の一つでもこしらえるべきだと思う。

2012年年末に、国民が民主党(現民進党)政権を見捨てたのは、東日本大震災と福島原発事故、尖閣諸島を巡る中国との衝突など、外交・安全保障問題について、あまりに素人だったことが大きかった。だから後を継いだ安倍政権は、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げて、対米、対ロ、対中、対韓など少しずつ関係改善を行い、長期政権の原動力の一つとなったわけだ。

だが、本物の東アジア有事が刻一刻と近づきつつあるいまになって、1ヵ月も国民的エネルギーを費やす総選挙はないだろうと思う。安倍首相は、「北朝鮮有事が訪れるから」という理由で、総選挙を先延ばしし、国民の生命と安全を守る手段を講じることに、全力を傾けるべきだった。かつ北朝鮮有事の調停役として、アメリカや関係各国と交渉し、「地球儀を俯瞰する外交」の真骨頂を見せるべきだった。

思えば、今年1月、アメリカにドナルド・トランプ大統領が誕生した時から、世界は「変質」していった。トランプ大統領が、それまで戦後72年間続いてきたアメリカの「理念外交」から外れたことで、世界の「磁場」がほどかれ、変質を遂げたのだ。

それは世界で唯一、冷戦構造が残る東アジアにおいて、一層顕著だった。

トランプ大統領と金正恩委員長は、実は「似た者同士」である。わがままで気まぐれ、単細胞、計画よりも直観重視、完全トップダウン主義、会議嫌い、逆らう者は即座に抹殺(罷免)、多弁で放言癖がある、理念より実利重視……。ついでに言えば個人的嗜好も、贅沢三昧、ステーキが好物、美女も好物、信じられるのは家族だけ、妻は元美人芸能人……。

そして古今東西、似た者同士の政治リーダーというのは、不仲と相場が決まっている。そんな中、ついに米朝両首脳が、「近親憎悪的バトル」をおっ始めたのが現在の状況だ。

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