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歴史

ハンカチに正方形以外の形がないのには、こんな理由があった

言いだしっぺはなんとこの人物

色んな形があることに不満

素材や絵柄、色もさまざまで、持つ人の個性が現れやすいアイテムであるハンカチ。

しかし、ふと考えると形はみんな正方形ばかりで、長方形や丸形のものにはお目にかからない。なぜだろうか。

実は、「ハンカチは正方形であるべし」と定めた人物がいたのだ。

そもそも、ハンカチの歴史は古い。紀元前3000年のエジプトではすでに麻の端切れが、手をふいたり汗をふいたりするための布として使われていた。

 

中世に入るとヨーロッパではハンカチが「婚約のしるし」として女性から男性へ贈られるようになる。シェークスピアの4大悲劇のひとつ「オセロー」は、他の男が妻のハンカチを持っていたことで、不倫を疑い、妻を殺害する男の物語だが、それほどに、ハンカチは大切なものだったのだ。

さらに時を経て、ルイ王朝時代のフランスでは、婦人たちは贅沢品であるレースのハンカチを「美しさの象徴」として重宝していた。位の高い貴族の女性になると、数千枚単位のハンカチをコレクションしていることもあったほど。

美しさを競ううちに、刺繍や宝石など、ハンカチはどんどんきらびやかに飾り付けられていった。

しまいには装飾だけでは飽き足らず、長方形や三角形、果ては円形までさまざまな形のハンカチが作られ、人々は個性を主張しあった。

ところが、こうした流行りを気に入らなかった人物がいる。ルイ16世の夫人、マリー・アントワネットだ。彼女は夫に「国内のハンカチはすべて正方形にするべきです」と無茶な進言をする。一笑にふせば済む話だが、すっかり尻に敷かれていたルイ16世は、なんと言われるがままに「ハンカチのサイズは縦横同一たるべし」という法令を布告。これ以降、正方形のハンカチだけが普及することになった。

ちなみに日本では、アントワネットの誕生日に近い祝日である11月3日(文化の日)が「ハンカチーフの日」と定められていることは、あまり知られていない。

『週刊現代』2017年10月7日号より