伊藤さんとユウゴくん。写真:伊藤みかこさん提供
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「IQ28」の重度障がい児を育て上げたバツイチバリキャリマザー

我が子が超未熟児に生まれて

医師がオススメする名医を紹介する医療情報フリーペーパー『ゲンキのモト』編集長の伊藤みかこさん。編集者としてバリバリ活躍する傍ら、16歳、13歳、2歳の男の子たちを育てる母親としての顔を持つ。

しかも、体重664gの超未熟児として生まれた次男は言葉を発することもできない重度の知的障がいだという。夫の浮気、超未熟児の出産、障がい児育児、離婚、そして再婚──人生の荒波にもまれるどころか、精力的に波を乗りこなしている伊藤さんに話を聞いた。

私の息子は話せない

「ユウゴと2人でお店なんかにいるとき、店員さんが話しかけてくると、こっちが困っちゃうんですよ」と苦笑いする伊藤さん。それもそのはず、今年13歳になった次男のユウゴくんは重度の知的障がい児で、自分から言葉を発することができないのだ。

「障がい児」といっても、その誰もが医療ケアを必要としているわけではないし、すべての障がい児に外見的な特徴が現れるわけではない。出生時の低酸素脳症もしくは生後8か月で発症したアデノウイルス脳症の影響で脳が萎縮し、重度の知的障がいを負ったユウゴくんも、見た目だけで障がいとその程度を判断するのは難しい。

 

ちなみに、「知的障がい」とは、発達障がいに含まれる障がいの1つで、同年齢の子どもと比べて知的機能の発達に明らかな遅れが見られ、社会生活などへの適応が難しい状態のこと。IQ100を平均値として、健常者と知的障がい者の境目はIQ70と言われている。言葉を話せないため正確な数値は測定不能だが、ユウゴくんのIQは28程度ではないかと推測されている。

これは、知的障がいの中でも中度~重度とされ、言葉でのコミュニケーションが難しく、食事、衣服の着脱、排せつなど、日常生活でも支援を必要とするレベルだ。排せつがおむつの場合、将来的に就職や自立を目指すのは難しい。

心身に障がいのある子どもたちが社会的に自立するためには、早い段階でそれぞれの発達に応じた医療や保育を通して心身の発達を促す「療育」を受けることが大切だ。そして、伊藤さんはいくつかの療育センターなどを巡った後、現在ユウゴくんがお世話になっている療育の先生に出会った。

発達に凸凹のあるユウゴくんのような子どもたちが目指すのは、「できること」を見つけてそれを伸ばすこと。そして、社会生活のために必要な最低限のスキルを身につけること。そのために何をしたらいいか。先生の考え方は、伊藤さんに大きな影響を与えたという。

ユウゴくん。写真:伊藤みかこさん提供

ユウゴくんは排せつも1人でできるし、整理整頓やお片づけも得意。家庭では、お兄ちゃんが脱ぎっぱなしにした靴下や弟が散らかしたおもちゃを片づけるのは、「現状維持」が得意なユウゴくんの役割だという。そして、1人で排せつが可能だということは、将来的に就労も可能であるということ。得意なことを生かして、働いて稼ぐ──そんな可能性もあるという。

「高校を卒業して、ちゃんと働いて、グループホームに入って生活する。人のサポートは必要かもしれないけど、1人の息子として自立した生活をできるようになってほしいなというのが私の希望」

そう語る伊藤さん。障がい児の親というのは子どもを保護することにばかり目がいって、適切な補助があれば達成できたかもしれない成長や発達のチャンスも奪ってしまうことがある。しかし、伊藤さんは目の前のユウゴくんの現状をいかにフォローし保護するかだけでなく、その先を考えて子育てに臨んでいる。