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老後資産の取り崩し方は、この「公式」で導き出せる

一体いくら取り崩しが可能かを導き出す

高齢者、当然の疑問

筆者は、仕事柄、個人が集まるお金の扱い方に関連する講演やセミナーに登壇する機会がある。

こうした場合、聞き手が、現在仕事を持ったいわゆる「現役」の世代で、将来の老後のお金について心配している場合もあるのだが、現在仕事で稼いでいるのではなく、年金の収入と自分の資産からの取り崩しで生活されている「リタイア後」の世代の方も少なくない。

こうした方から、(1)資産の取り崩し方、と(2)高齢期の資産運用についてご質問を受けることが時にある。これらのうち、資産運用に関しては、「基本は現役時代と同じです。ポートフォリオにまで歳を取らせる必要はありません」と説明しているのだが、資産の取り崩し方については、正直なところ、まとめて考える機会が少なかった。

「リタイア後」は、考えるべき期間が相対的に短い分、「現役世代」よりも将来を想定しやすい面があるが、さりとて、10年単位以上の将来の経済状態を正確に想定できる人は稀である。

当面取り崩して使っていい金額についてざっくりと考えることができて、資産運用の方法と一貫性のある方法論はないものか、しばし、考えてみた。

運用利回りはあてにしない

外国の著者が書いた運用の本などを読むと、資産の運用利回りが一定程度あることを想定して、例えば「資産額の4%」を取り崩して行くような方法が紹介される場合が多い。

株式と債券とを合わせてバランス運用して4%程度の期待リターンがあれば、収益と取り崩しとがバランスして、概ね資産を減らすことなく長期的に継続可能だというのが、その心だろう。

 

しかし、少し話が上手すぎるし、「期待リターン」が真に将来の期待値(「予想の平均」に過ぎない)なのだとすると、期待に達しないケースが半分はある訳で、個人の場合、失敗したら企業や政府が穴埋めしてくれる年金基金の運用のように計画を立てる訳には行かない。

現役世代の「必要貯蓄率(或いは「必要貯蓄額」)」を求めるために筆者とFPの岩城みずほ氏とで考案した「人生設計の基本公式」(例えば『人生にお金はいくら必要か』を参照されたい)では、賃金、資産額、生活費等が均等な率で上下する、つまり、資産運用はインフレ率並という前提で必要貯蓄率を求めて、資産運用の利益は「現実に稼いでから、保有資産額に反映する」方法が、保守的で無難であると考えた。

今回は、岩城氏の相談事例等を参考に、リタイア後の資産取り崩し方について、同様に考えてみた。

なお、断っておくが、筆者は、運用益をはじめからあてにするなと言いたいだけであって、運用でリスクを取るなと言っている訳ではない。

むしろ、許容可能なリスクを積極的に取って、より豊かな状態を目指すことが、年齢に関係無く好ましい事であり、高齢だけを理由にリスクを縮小する必要は無いと申し上げる。

また、運用商品の選択は基本的に現役世代と同じで良く、現役もリタイア後も、「より非効率的な運用でもいい」ということはないはずだ。基本的には、リスク資産で運用する金額を調整するだけでいい(世の中の運用商品の99%以上に用は無いはずだ)。